尾身茂会長、年内のコロナ「終息」見込めない…1都3県緊急事態宣言再延長決定も「冬までは感染広がる」
政府は5日、新型コロナウイルス感染症対策本部会合を首相官邸で開き、首都圏1都3県に発令している緊急事態宣言を21日まで2週間再延長すると決定した。菅義偉首相(72)は記者会見で7日までに宣言が解除できなかったことについて「大変申し訳ない思いだ。心よりおわびする」と述べた。一方、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長(71)は年内の「終息」は見込めないとの見方を示した。
「当初約束した3月7日に解除できず、大変申し訳ない」「命と暮らしを守るために、安心とにぎわいのある生活を取り戻すために一層の協力をお願い申し上げます」
菅首相は5日夜に行った会見で、東京、埼玉、神奈川、千葉の1都3県で再延長となったことを受け、国民への謝罪と要請の言葉を並べ、厳しい表情で頭を下げた。
「入院者や重症者は継続して少なくなっている」「心を一つにして取り組んでいただいた結果だ」と効果も強調。ただ、感染者の減少傾向が鈍化していることや、一部地域で病床のひっ迫が見られることから再延長に追い込まれた。
首都圏での指標が改善しない一因は、感染源が追えない「見えないクラスター(感染者集団)」の存在と専門家の多くが分析する。実際、4日までの東京の感染者データ(1週間平均)では、約半数は経路不明のまま。宣言が再発令された1月より割合は減ったが、高止まりが続く。
再延長の2週間は「(新型コロナ感染を)抑え込むと同時に状況を見極めるのに必要な期間だ」とした首相。再延長を決定した背景には、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の考えもあった。
今月10日のIOC総会までに宣言を解除できないと五輪開催に黄色信号がともりかねないという見立てが官邸内にはあった。今週に入り「この段階で宣言が続いているかどうかは、開催判断に影響しない」とのバッハ氏の考えが菅首相の耳に届き、再延長への後押しに。ただし、延長幅は21日までとした。25日には聖火リレーが始まる。東京が宣言下にある中での実施に、国際社会の理解が得られるのか未知数であることを考慮した。
首相の決断の一方で、悲観的な考えも飛び出した。首相の会見に同席した尾身氏は同日午前の参院予算委で、コロナ感染の年内の「終息」は見込めないとの見方を示した。
年内に人口の6、7割がワクチン接種を受けると仮定しても「おそらく今年の冬までは感染が広がり、重症者も時々は出る」とした。終息の定義として「さらに1年、あるいはさらにもう1年たち、季節性インフルエンザのように、それほど不安感がなくなれば終息となる」との考えを披露した。解除後の感染再拡大について「一番可能性が高いのが首都圏だ」と指摘。「2週間で感染の再拡大を起こさない体制づくりを求めたい」と呼び掛けた。