”虎ハンター“小林邦昭さんが平成維震軍のために健筆…金曜8時のプロレスコラム

「平成維震軍『覇』道に生きた男たち」(辰巳出版)
「平成維震軍『覇』道に生きた男たち」(辰巳出版)

 プロレス専門誌「Gスピリッツ」(辰巳出版)の単行本シリーズG SPIRITS BOOKの最新刊「平成維震軍『覇』道に生きた男たち」(2000円+税)が1月25日の発売から早くも2月5日に重版されるという売れ行きを見せている。

 著者は平成維震軍の越中詩郎(61)、小林邦昭(64)、木村健悟(66)、ザ・グレート・カブキ(71)=本名・米良明久=、青柳政司(63)、斎藤彰俊(54)、AKIRA(53)=本名・野上彰=の7人のサムライが共著として名を連ねている(以下も敬称略)。

 解散後に「犬軍団」になった後藤達俊(63)と小原道由(52)がいないのは残念だが、これだけのメンバーを揃えたのはさすが月刊&週刊「ゴング」の系譜を受け継ぐ「Gスピリッツ」だ。

 この中では、カブキは「“東洋の神秘”ザ・グレート・カブキ自伝」(辰巳出版G SPIRITS BOOK)など、これまで何冊か著書を出しているが、他のメンバーの自伝は見たことがない。越中詩郎がお笑いタレントのケンドー・コバヤシ(47)との共著で「やってやるって!!」(扶桑社)を出版しているくらいだろうか。

 中でも”虎ハンター“小林邦昭は昭和の金曜夜8時を彩ったスーパーヒールだが、自伝を断り続けてきた。その小林が7人のサムライによる共著の第1章を飾っている。編集人の「Gスピリッツ」佐々木賢之編集長(48)は、「冒頭に登場するのは、時系列に並べているからですが、小林さんがいなければ平成維震軍は始まらなかったわけですから、無理を言って受けて頂きました。小林さんの男気に感謝です」と話す。

 私がこのコラムのタイトルを「”虎ハンター“小林邦昭…」としたように、小林邦昭登場という”お手柄“はもっと強調されるべきで、前面に出してもいいようなものだが、この共著の表紙には誰の写真もなく赤と黒の「覇」という軍団旗のロゴがシンプルにデザインされているだけ。あくまでも7人のサムライを並列に扱っている。小林邦昭を冒頭の第1章に登場させているのも目玉としてではなく、時系列だからというのだ。

 さすがは元「週刊ゴング」出身の編集長だ。「売らんかな主義」のスキャンダル本では決してなく、史実をしっかりと後世に伝えようという「Gスピリッツ」の精神に脱帽せざるを得ない。

 これまでもG SPIRITS BOOKでは、「キラー・カーン自伝」などをヒットさせており、今年1月12日にケンドー・ナガサキこと桜田一男さんが71歳で亡くなった時、「ケンドー・ナガサキ自伝」が2018年5月に出版されていたことがとても貴重に思えたものだ。書店で「ケンドー・ナガサキ自伝」がたまに実用書の剣道のコーナーに並んでいるのは、ほほえましい光景でもある。

 さて、小林邦昭だが、平成維震軍の前身、反選手会同盟が結成されるきっかけとなった誠心会館との抗争を始めた張本人である。「『おい、お前! ドアくらい閉めていけ!』全ては1991年12月8日、後楽園ホールの控え室で起きた”殴打事件“から始まった―。」と紹介されているように、誠心会館・青柳館長の弟子の態度にキレたのが小林だった。同書では、その一部始終を本人が振り返っている。

 そして、2000年4月に引退するまで伏せていた自身のガンについても告白している。複数の部位に腫瘍が見つかり、何度も入院し、開腹手術をしても公表しなかった。「俺のプロレスラーとしての意地でもあった」という。

 平成維震軍(反選手会同盟)は小林と越中で始まったが、いつしか越中がリーダーとなり、小林の存在感が薄くなっていたのは、人知れずフェードアウトしていたからだったのだ。当時は「内臓疾患で欠場」という発表だったが、大きく取りあげられることはなかった。

 闘病記だけでも、十分な自伝になるはずだが、それをしてこなかった”虎ハンター“は、現在、新日本プロレスの道場・合宿所の管理人として、裏方に徹している。そして初の著者として、わずか7分の1の登場だが、初代タイガーマスクや昭和維新軍のことも触れている。これは、行間まで何度も読んで味わわずにはいられない。(酒井 隆之)

 ◆小林 邦昭(こばやし・くにあき) 1956年1月11日、長野・小諸市生まれ。64歳。72年に新日本プロレスに入門。73年2月1日に栗栖正伸戦でデビュー。メキシコ、米ロサンゼルス遠征から凱旋帰国した82年10月に初代タイガーマスク(佐山サトル)を襲撃して、”虎ハンター“として抗争を繰り広げて大ブレイク。長州力の維新軍団に参加。84年9月に長州力らとジャパンプロレスに移籍し、全日本プロレスに移籍。2代目タイガーマスク(三沢光晴)とも抗争し、NWAインターナショナルジュニアヘビー級王座、世界ジュニア王座に就いた。87年に長州力とともに新日本プロレスに復帰し、IWGPジュニアヘビー級王座を奪取した。92年から誠心会館と抗争し、同年8月に越中詩郎と反選手会同盟を結成。平成維震軍へと発展させた。2000年4月に引退し、現在は新日本プロレスの道場・合宿所の管理人を務めている。現役時代は183センチ、105キロ。

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