【大学野球】「東大 札幌」検索で開かれた未来…札幌西の帰宅部生徒はなぜ東大野球部のスカウティング担当になったのか
関東圏の大学野球リーグに進んだ道産子たちの「今」を紹介する「白球を追う」。今回は公立進学校・札幌西から東京六大学リーグの東大に進み、チームを支える石田遥人マネジャー(3年)にスポットを当てる。高校時代に帰宅部だった青年は、なぜ東大野球部を志したのか。(構成・加藤 弘士)
****
高2の冬、パソコンで何げなく「東大 札幌」と検索してみた。その結果が、石田の未来を大きく変えた。
「井沢駿介さん(現NTT西日本)という方が出てきたんです。へえ、東大野球部には札幌南出身の投手がいるんだなって」
4月になった。石田は当時エンゼルスだった大谷翔平の試合を見るため、スマホアプリを開いた。東京六大学野球の22年春季リーグ開幕戦、東大・慶大戦の動画が流れてきた。あの井沢が先発し、力投していた。
「井沢さんはホームランも打っちゃって。負けちゃったんですけど、140キロを投げるし。『東大野球部って、こんなに野球がうまいんだ』って。すごいなと。追いかけるようになって、『東大野球部に入りたい』と思うようになったんです」
札幌市出身。小6だった2016年には地元の日本ハムが日本一に輝いた。
「野球すげえなって。大谷、中田翔、西川遥輝…憧れでした。それで中学は軟式野球部に入って。レギュラーではなかったんですが」
札幌西ではバレー部に入部したが、高1で退部した。顧問に伝えると「部活を辞めるなら勉強を頑張って、東大でも何でも目指せ」と励ましてくれた。何げない一言だったが、胸に響いた。東大か―。高2の夏前には腹をくくり、第1志望に設定。入試直前は1日11時間の猛勉強。「東大野球部に入る」という強い動機が、不安な心を支えてくれた。サクラサク。上京し、マネジャーとして門をたたいた。
「いろんな仕事があります。チームを回して、選手が練習に集中できる空間をつくることがやりがいです」
選手のスカウティングも担当する。進学校の野球部へアナリストと訪問し、「出張測定会」を行う。
「ラプソードとか機器を持って行って、測定会をやらせてくださいと。どうしたら東大野球部に入ってもらえるか考えた時、実際に大学野球を体験してもらうことが大事だと企画したんです。高校生ってこんなに将来のことを考えているんだなって、楽しさを覚えました。東大野球部に興味を持ってもらえるよう、いろんな高校を巡りたいです」
高校時代は帰宅部でも、歴史ある東京六大学野球リーグの運営に携われる。それもマネジャー業の魅力だ。道内の若者たちに、こんなエールを送ってくれた。
「道内での挑戦はもちろんいいことですが、道外に出ていろんな人と出会い、いろんな経験をすると、人生に彩りが出ると思います。今よりもレベルが高いところへ、ぜひチャレンジしてほしいなと思いますね」
◆石田 遥人(いしだ・はると)2004年6月10日、北海道札幌市生まれ。21歳。栄町中では部活の軟式で野球を始める。札幌西では勉学に打ち込み、東大文科三類に現役合格。北海道の好きなところは「全部です。ムシムシしていないし、自然が豊か」。172センチ、72キロ。右投右打。