「世界一のオヤジ」と号泣したことも知らないけど、歴史を知って亀田家の“沼”にハマっていく
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
「亀田家 最終章」。そう銘打った5月24日の世界戦で三男・和毅(ともき)は0―2判定負け。日本人8人目の3階級制覇を逃した。リングを降りると、静かに泣いた。囲み取材に現れた時は、すがすがしい表情だった。「現役引退」を口にすると思ったが「フェザーで一番強い選手に(あと)一歩のところまできた。自信になる」と今後の自分を想像し、目を輝かせていた。
ドラマでたまに見る「最終章 前編」。まさにそんな感じだった。顔つきを見ても、ここからやるぞ、もうひと暴れするぞ、目を離すなよ、と言っているようだった。「『亀田劇場』は続くのか!」と昔から知る報道陣は喜んでいた。
私は今年、28歳になる。ボクシング担当は24年から。亀田三兄弟は聞いたことがある程度だった。もちろん、長男・興毅氏の現役時代も知らない。2009年に内藤大助氏に挑んだ因縁の対決が、関東で51・2%、関西で52・2%の瞬間最高視聴率をたたき出したことも、「世界一のオヤジ」と号泣したことも知らない。知っているのは、SNSなどでご飯を食べて「3150(さいこー)」とポーズを取る父・史郎氏だけだ。
だが、関わるようになり、歴史を知り、亀田家の“沼”にハマっていく記者陣の気持ちが少し分かった気がする。大人になると自分の感情を口にすることは難しくなる。だが、感情むき出しで、すべてをさらけ出し戦い続ける家族は、羨ましくもあり、スリリングで面白い。次は何をやってくれるのだろうと楽しみでもある。“沼”と分かりながらも、「本当の最終章」まで見届けようと思う。(ボクシング担当・森脇瑠香)
◆森脇 瑠香(もりわき・るか) 2020年入社。プロ野球担当を経て、24年からボクシング、サッカー、ゴルフ担当。YouTube「やってみるかチャンネル」も配信。