【高校野球】御殿場西が天国の森下前監督へ初陣白星届ける…春季静岡県地区予選組み合わせ抽選会
3月20日に開幕する第71回春季高校野球地区予選の組み合わせ抽選会が9日、沼津市内などで行われ、監督を務めていた名将・森下知幸さん(享年62)が1月16日に急逝した御殿場西の初戦が決まった。後任として、副部長だった竹内健人新監督(31)が同22日に就任。母校・常葉菊川(現常葉大菊川)の恩師の思いを継ぎ、3月20日の桐陽戦で初陣に臨む。今予選には東部35校、中部32校、西部39校が参加し、各ブロックの勝者26校と代表決定戦で負けたチームによる敗者復活戦を制した13校が県大会に進出する。
御殿場西が新体制で臨む一戦が決まった。森下イズムを引き継いだ竹内監督はこの日、抽選会場には行かなかったが、桐陽が相手と知ると「最初は硬くなるし、相手は(昨夏は2回戦敗退も)手強い相手。選手が力を発揮しやすい状態をつくれれば」と表情を引き締めた。勝てば2回戦はプロ注目の197センチ右腕・小船翼投手(2年)を擁する知徳が待ち受ける。「いい投手と対戦する機会はなかなかない。僕としては楽しみにしている」と心待ちにした。
御殿場西には17年に赴任してからコーチとして携わってきた。この新チームを最後に退任する意向だった森下さんが急逝したことで、想定より早く采配を振ることになった。恩師は2007年センバツで常葉菊川を日本一に導いた。野球を楽しむことを第一に、バントなしのフルスイング打線を築いた。「僕もバントをさせる気はないが、勝つために先生が大切にしたものに変化を加えたい」と意気込む。
若き新監督は思考力を重視する。選手に練習メニューを考えさせ、毎日ノートを書くことで自らの課題と向き合わせる。「この練習は何を意味するのかと考えるようになった」と主将の加藤優弥(2年)。森下さんはノックの名手だったが、「竹内監督も捕れるか捕れないかのところに打つ。森下先生と同じぐらいにうまい」とうなずいた。
先月16日、森下さんが他界した2時間46分後、同じ病院の1階上で自身にとって第1子となる長女が誕生した。出会った時から森下さんと縁が深い人生を歩んできた。「先生がいなかったら野球をやっていない」と感謝は尽きない。
中学から縁 中学生だった当時、母が同じ菊川の職員だった縁で森下さんが練習に訪れた。受けた評価は「どの高校でもレギュラーはない」―。高校進学を機に野球を辞める気でいた。だが、同高が学力を重視した部員を求めたことで、後に東大に進んだ兄を持つ竹内監督は頭の良さを見込まれ、入部することになった。当初は「3年間、球拾いのつもり」と考えていたが、1年時から鍛えられ、3年では「1番・遊撃」と主将を担い、夏は県準Vに貢献した。
高校時代から観察力、物怖じせず意見を言う姿勢を買われ「将来、一緒に指導しよう」と誘われていた。「お前とは弱いチームからつくり上げたい」という恩師の希望から、16年秋に森下さんが御殿場西監督に就任した翌年に赴任。2学年合わせて20人しかいなかったところから、昨年11月には県内強豪で争う「Sリーグ」で初優勝した。「超えることが恩返し。天国から、うらやむようなチームをつくりたい」。初采配に向けて自身を奮い立たせていた。(伊藤 明日香)
◆竹内 健人(たけうち・けんと)1993年1月14日、菊川市生まれ。31歳。菊川西中から常葉菊川に進学。同級生にはヤマハの秋利雄佑内野手がいる。亜大では1年春にベンチ入りも3年春から学生コーチ。卒業後は八戸学院大で2年間コーチを務め、17年に御殿場西に社会科教諭として赴任。家族は妻と長女。173センチ、72キロ。右投左打。