【箱根駅伝】 第100回は青学大が大会新記録で圧勝!2年ぶり7度目Vに原晋監督「シード落ちもあり得たチームが強くなった」王者・駒大を破る 「負けてたまるか!大作戦300点満点」

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ゴールする青学大・宇田川 瞬矢 (カメラ・越川 亘)

◇第100回東京箱根間往復大学駅伝競走復路 (3日、神奈川・箱根町芦ノ湖スタート~東京・千代田区大手町読売新聞社前ゴール=5区間109・6

 青学大が2年ぶり7度目の総合優勝を飾った。往路で5時間18分14秒の新記録で圧勝した青学大は復路も圧巻の走りを続け、10時間41分25秒の大会新記録で箱根路を制した。昨季、学生駅伝3冠を果たし、今季も出雲駅伝(昨年10月9日)と全日本大学駅伝(昨年11月5日)を圧勝して学生3大駅伝5連勝中だった王者の駒大を真っ向勝負で打ち破った。

 往路優勝した青学大と2位の駒大は2分38秒、距離にして約900メートルの大差があった。青学大の復路5選手は全員が箱根駅伝初出場であることが唯一の懸念材料だったが、それは無用の心配だった。

 「トップを走ることを重圧に感じるのではなく楽しもう」。原晋監督(56)直伝の「ピクニックラン」が機能した。

 山下りの6区で野村昭夢(3年)は区間2位、7区の山内健登(4年)は区間3位、8区の塩出翔太(2年)は区間賞、9区の倉本玄太(4年)も区間賞。区間を重ねるごとに駒大との差は開いた。

 最終10区の宇田川瞬矢(2年)は1~9区の選手9人、いや、チーム全員の仲間がつくった6分22秒の大差に守られ、栄光のウィニングロードをひた走り、2年ぶり7度目の優勝のゴールテープを切った。

 青学大は1年前の第99回大会では3位。優勝した駒大に7分14秒の大差をつけられて完敗した。

 近藤幸太郎(現SGH)、岸本大紀(現GMO)、横田俊吾(現JR東日本)ら有力選手が卒業して始まった今季、原監督は「ひとつ間違えるとシード落ちもあるよ」と厳しい表情で選手たちに訴えていた。

 選手も覚悟を持って23年度シーズンに入った。「全員が危機感を持って夏合宿に臨みました」と主将の志貴勇斗(4年)は表情を引き締めて話した。

 「夏を制する者が箱根を制する」という格言がある。夏合宿で泥臭く走り込んだ結果、チームは急成長した。

 しかし、今季も出雲駅伝5位、全日本大学駅伝2位で、学生駅伝で5連勝の駒大に屈した。「駒大とは圧倒的な差がありました」と原監督は完敗を認めざるをえなかった。

 ただ、収穫もあった。黒田朝日(2年)が出雲駅伝、全日本大学駅伝で好走し「新・駅伝男」を襲名。箱根路では抜群の強さを誇る「駅伝男」の太田蒼生(3年)は昨年の夏合宿では1、2年時をはるかに上回る練習を積み、地力が大きく増していた。2人の「駅伝男」が2区と3区で駒大エースの鈴木芽吹(4年)、佐藤圭汰(2年)を圧倒する走りで王者を止めた。

 実は1か月前、インフルエンザに集団感染する大トラブルがあった。「就任20年で、この時期にインフルエンザ集団感染なんて初めてですよ」と原監督は頭を抱えたが、すぐに次善策に切り替えた。インフルエンザに感染した選手を隔離した上で完全静養に努めた。

 3日間は一歩も走ることなく、治療に専念。幸い、1週間後には練習を再開できた。

 インフルエンザ感染に加え、さらにダメージを受けていたのが佐藤一世(4年)だった。昨年12月中旬に虫垂炎を発症。練習の中断期間はさらに延びた。原監督は「一世は起用できないかもしれない。起用できたとしても7区か8区かな」と漏らしたこともあった。

 「負けてたまるか!大作戦」を思いついたのは、チーム状況がどん底の頃だった。「駒大は本当に強い。ひとつ、間違えると、レースの序盤で心を折られる。出場する選手、サポートする選手、マネジャー、スタッフがチーム一丸となって『負けてたまるか!』という強い気持ちで第100回箱根駅伝に挑みます。名付けて『負けてたまるか!大作戦』です」と高らかに宣言した。

 「ここからが私の腕の見せ所ですよ」と原監督は、これまで成功してきた調整パターンを捨て、選手の体調をじっくり観察した上で練習をアレンジ。大一番に備えた。

 大一番の直前になり、チームの状況は急上昇し、圧勝につなげた。「ひとつ間違えればシード落ちもあり得たチームが強くなった。青学大の選手は最高ですよ」と原監督は感慨深い表情で話す。

 その上で「12月はこれまでに比べて練習量を7~8割に落とした。こんなやり方があるのか、と私自身もまた学びました。これは使えますよ」とニヤリと笑った。「負けてたまるか!大作戦300点満点です」は大成功した。

 青学大は箱根駅伝に初優勝した2015年以降、2年連続で優勝を逃したこともない。今回も、その「伝統」を守った。

 100回目を迎えた伝統の継走。最近10年で7勝を誇る。青学大の時代は続く。

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