【高校野球】水戸一、躍進の理由 一球入魂の精神は不変…センバツ選考委1・26はOB飛田穂洲氏の命日

スポーツ報知
センバツ21世紀枠の関東地区候補校に選ばれた水戸一。飛田穂洲像の前でナインは気持ちを新たにした(カメラ・加藤弘士)

 日本高野連は8日、来春の第96回センバツ高校野球大会(3月18日開幕・甲子園)に出場する21世紀枠の各地区候補9校を発表した。関東は、名門進学校・水戸一(茨城)が選ばれた。同校OBの加藤弘士編集委員が躍進の背景を「見た」でつづった。選手16人ながら秋4強で最東端甲子園出場を目指す北海道の別海(べつかい)、愛媛の大洲(おおず)などが選出された。同枠はこれまでの3校から2校に減り、地域を限定せずに、一般選考とともに来年1月26日の選考委員会で決まる。

 御三家の一つだった水戸徳川家。その居城だった水戸城跡に水戸一キャンパスはある。校内に建つのがOBで「学生野球の父」と呼ばれた早大野球部初代監督・飛田穂洲(とびた・すいしゅう)像だ。21世紀枠関東候補校となり、それをバックにナインが勇ましい表情で記念撮影すると、飛田先生の表情がわずかにほほ笑んだような気がした。

 1878年創立。服装自由など生徒の自主性を尊ぶ校風の中で、プロレス研究会の私も青春時代を過ごした。野球部は1891年創部。夏の甲子園には1929年、30年、54年と3度出場しているが、私の在学中は甲子園など夢のまた夢。だが近年、強豪私学にひけを取らない好勝負を演じている。21年春には県4強。そして今秋の県準決勝、常総学院に1―8で7回コールド負けはしたが、52年ぶりの秋4強を成し遂げ、甲子園にあと一歩まで来た。

 原動力が最速141キロのエース右腕・小川永惺(ひさと・2年)だ。秋の公式戦では30イニング連続無失点の快投を披露した。名門進学校ながら22年の入試から硬式野球部を対象に特色選抜が導入され、学業に加え野球で実績のある中学生7人が入学できるようになった(来春から4人)。その1期生だ。木村優介監督(39)も「野球と勉強の両方をやるという覚悟を持った選手が増えていると感じます」と新制度の効果を実感。最新鋭の計測機器「ラプソード」や充実したウェートトレ場も強化を後押しする。

 時代は変わっても、変わらないものがある。飛田先生が唱えた「一球入魂」の精神だ。津田誠宗主将(2年)はナインの総意を代弁する。「一球入魂は野球だけじゃない。普段の生活や授業の受け方、全てで魂を込めてやれば、それがプレーにも表れる」。出場校が決まる1月26日は、くしくも飛田先生の命日である。(加藤 弘士)

 ◆水戸一(水戸市) 1878年創立の県立校。50年共学化。約70キロを一晩かけて歩行する行事「歩く会」は、OGの直木賞作家・恩田陸の小説「夜のピクニック」のモデルとなり、映画化もされた。今年度の合格実績は東大15人、京大7人、医学部医学科49人。主なOBは石井連蔵(元早大監督・故人)、深作欣二(映画監督・故人)、山口那津男(公明党代表)、玉造陽二(元・西鉄外野手)。

野球

×