見て、話して、多くを感じた 女子高生の目に映ったイチロー

スポーツ報知
試合を終え、イチローさん、松坂大輔さんと記念写真に収まる女子チーム

 程度の差こそあれ、我々おじさんは若者たちの目が気になるもの。ちょっとでも格好良く見られたい、尊敬されるような人間でいたい…。そう願ってはいても、実践できている人は少ないだろう。だが先日、その一挙手一投足に女子高生が目を輝かせていた50歳がいた。日米通算4367安打などの大記録を持つ、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチローさんだ。

 東京ドームで先月21日、イチロー選抜KOBE CHIBENと高校野球女子選抜の対戦が行われた。私が所属する東北支局管轄では、クラーク仙台(宮城)の青木智美投手と国井奏碧(かなみ)捕手、花巻東(岩手)の末木希依外野手(いずれも3年)が参加。後日、話を聞く機会があった。3人ともにイチローさんといえば、思い浮かべるのはMLBでのプレー。その存在はテレビや動画で見る人、という印象だったという。

 試合前、イチローさんの打撃練習を間近で見る機会があった。「下半身の筋肉がすごかったです」(青木)「動きを見ていて、体が軽そうだなと思いました」(国井)「体がスラッとしているのにしっかりしている気がしました」(末木)と、初めて見る生のイチローさんに興奮したという。試合では末木が右翼線への三塁打を放ち、青木は一ゴロに打ち取り、国井は好リードで3球三振に抑えるなど、三者三様で“真剣勝負”。そのなかでイチローさんのすごさを感じたという。青木は「1球目に(右翼方向へ)ファウルを打たれたんですけど、スイングスピードの速さにびっくりしました」、末木は「(球の)スピードも速くて伸びもすごかったです」。国井は三振後の打席で「(前の打席と同じく)初球を変化球でいったらとらえられた(注・二塁塁審直撃の安打)。私のことを見られたのかなと思ったし、修正力や観察力(の高さ)を感じました」。本気モードのプレーを肌で感じ、多くのことを学んだ。

 翌日の講習会ではイチローさんの話を直接聞いた。「きさくに話してくれて接しやすかったです」(国井)と和やかな雰囲気のなか、「毎日限界をむかえる練習をしている」「(長く続けられるのは)野球が好きだから」という言葉に感銘を受けたという3人。プレーでも言葉でもエールをもらい、「もっと頑張らないといけないと思いました」と口をそろえていた。またこの一戦は女子高校野球選抜強化プログラムの一環として実施されているため、末木はこんなことも話していた。「こういう機会を頂いたからこそ、(女子野球を)発展させたい気持ちは大きい。まだ珍しいのかもしれないけど、将来は女子野球が当たり前の世界になればいい」。憧れでもあり、抑えたい&打ちたい相手でもあり、貴重な助言をくれた野球界の先輩でもあるイチローさん。その姿を目に焼きつけ、金言を胸に刻んだ彼女たちが、これからの女子野球界を盛り上げてくれるに違いない。(東北支局・有吉 広紀)

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