甲子園で開幕した「あの夏を取り戻せプロジェクト」に東北勢5校出場…2020年コロナ禍で涙を呑んだOBたちが集結

スポーツ報知
入場行進する青森山田OBナイン

 新型コロナウイルスの影響で全国高校野球選手権大会が中止となった2020年当時、高校3年生だった球児による交流大会「あの夏を取り戻せプロジェクト」が29日、甲子園球場で開幕した。東北からは青森山田、一関学院(岩手)、明桜(秋田)、鶴岡東(山形)、聖光学院(福島)の5校が出場し、5分間のノックと堂々の入場行進で、夢見た聖地の土を踏みしめた。30日、12月1日には兵庫・県立明石公園トーカロ球場などで交流試合が行われる。

 “2020年の夏”が開幕した。高らかなファンファーレが鳴り響くと、肌寒い浜風に吹かれて45校42チームが集い、失われた夏を取り戻す3日間が始まった。

 当時を思い出し、青森山田の哘崎(さそざき)新元主将(青森大3年)は「主将として引っ張る立場でしたが、言葉を失った」と明かす。企画を聞いた当初は「本当にできるのかと半信半疑だった」と笑うが、3年越しに夢の舞台が準備され「また皆と野球ができるのが楽しみ」と感謝した。

 スタンドに入場すると、一関学院の佐藤颯弥元主将(21)は目の前に広がる景色に「感動のひと言です」。夏の代替大会では「甲子園がなくてもやり抜けると証明しようと戦った」と10年ぶりの優勝を果たした。「不完全燃焼の夏だったので、本当にうれしい。たくさんの方に感謝して笑顔で全力プレーする」と意気込んだ。

 各校には本来より少し短い5分間のノック時間が与えられた。福島県の代替大会で14年連続頂点に立った聖光学院で副主将を務めた吉田晃大さん(21)は斎藤智也監督(60)のノックを受け「懐かしくて、変わらなかった」と感慨深げだ。「少しでも長く甲子園の土に触れていたいなと思った」とかみしめるように感触を味わった。

 センバツ切符もつかんでいた鶴岡東(山形)は、「2020年甲子園高校野球交流試合」以来の聖地。県内公式戦無敗で夏を終えたチームをまとめた鈴木喬さん(拓大3年)は「甲子園でしか味わえない空気があります。やっぱりずっと憧れていた舞台です」と、拍手を浴びながら堂々の入場行進を見せていた。

 30日は兵庫県内各地で交流戦が行われる。明桜で選手兼記録員を務めた野島陸さん(21)は投手として出場予定だ。「久々なので、まずはけがせず元気にプレーしたい。皆で一致団結して勝利を目指す」と全力プレーを誓う。思い思いの一日を味わった元高校球児たちは、冬の聖地で笑顔を咲かせた。(秋元 萌佳)

 ◆2020年の高校野球

 ▽1月 センバツ出場32校が発表。

 ▽3月 新型コロナウイルスまん延によってセンバツ中止が決定。

 ▽4月 東北6県で春季大会の中止が決定し、全国の47都道府県大会、全国9地区での地区大会もすべて中止が決定。

 ▽5月 夏の全国高校野球選手権大会の中止が決定。

 ▽6月 センバツ大会の代替試合として2020年甲子園高校野球交流試合の開催(8月)と、東北地区でも独自の東北大会開催が決定。

 ▽7月 東北6県で独自の代替大会開催。

 ▽8月 東北6県の代替大会優勝チームによる夏の東北大会では聖光学院(福島)が優勝した。新チームによる秋季大会は無観客試合など感染予防の措置を各県で取りながら行われた。

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