【報知映画賞】横浜流星「こんなにも早く」 昨年助演男優賞から1年で主演男優賞「より本物にならないといけない」

スポーツ報知
カメラマンのリクエスト通り、色気たっぷりの視線を送った横浜流星(カメラ・小泉 洋樹)

 今年の映画賞レースの幕開けとなる「第48回報知映画賞」の各賞が27日、発表された。主演男優賞は、「ヴィレッジ」(藤井道人監督)と「春に散る」(瀬々敬久監督)に主演した横浜流星(27)が受賞した。無気力な青年から世界王者を目指すボクサーまで、幅広い演技を披露。昨年の報知映画賞も「流浪の月」(李相日監督)で助演男優賞を受賞したが、2年連続の快挙。「こんなにも、早く帰ってこられるとは」と顔をほころばせた。表彰式は12月上旬に都内で行われる。

 ジャケットを脱いで、肩で息をついた。撮影時に鋭さも見せた横浜の目元は、柔らかくなった。

 「『いつかまた主演男優賞で帰ってこられたら』と思っていましたけど、こんなにも早く受賞できて。感謝の気持ちで、いっぱいですね」

 助演→主演の連続受賞は17、18年の役所広司以来、2人目の快挙。「流浪の月」での助演男優賞から1年。「より芝居と向き合えた」と振り返った。

 「年齢やキャリアと共に携わる作品が変わって。より本物にならないといけないと感じたし、深いところまで向き合える作品も多かった」

 「ヴィレッジ」では運命に翻弄(ほんろう)される青年を、「春に散る」では若きボクサーを演じた。幅広い役になりきる演技力が評価されたが、共に「出演するか悩んでいた」という。「自分に演じられるのか。また、格闘家へのリスペクトがあるからこそ不安も大きくて。あらを探すじゃないですけど、そうなってしまうのではという怖さもあって」

 監督やプロデューサーの熱い思いを受け取り、出演を決断。ひとたび決めたら「こん身の作品に」とこだわり抜くのが横浜流だ。闇を抱えた男になりきるため「ヴィレッジ」では、撮影外でも多くの言葉を発さなかった。「春に散る」では、撮影8か月前からトレーニング。試合のシーン前日には計量にも臨んだ。「1人で体重計に乗って。よしっ、57・15キロ。クリアと(笑い)」。ボクシング熱が高じて、撮影後にはプロテストC級ライセンスも取得した。

 仕事とはいえ、心身を削るような日々を送った。「ストイックなんて言ってくださる方もいますけど、器用に切り替えられないだけ」と謙遜したが、真っすぐな生きざまのルーツは、小学1年で始めた空手にある。

 「最初は弱くて、すぐ泣いて。親はやめていいと言うんですけど、自分で始めたし、泣いてばかりじゃいられない。小さいながらに、そう思ったんですよね」

 中学時代に国際青少年空手道選手権大会の13・14歳男子55キロの部で優勝。その直後にドラマ初出演した「仮面ライダーフォーゼ」(11年)を経て、俳優の道へ進むと決心したが、1年間仕事がなかった。「選択は正しかったのか」。投げ出しそうにもなったが「一度決めちゃったもんですから。勝手に使命感を感じて、やり通さないと男として格好悪いですから」。

 小学6年でスカウトされてから15年。揺るぎない覚悟で走り続け、今がある。20歳の時に願った「大河ドラマ」も、25年に「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の主演でかなう。「全く思い描いていなかった未来」を進む横浜の行く末は―。

 「一日一日を大切に過ごして、作品や役者としてこの世界に欠かせない人になれたら」。激動の日々でも真っすぐな瞳が、ブレることはない。(田中 雄己)

 ★ヴィレッジ 山奥の閉鎖的な集落で“殺人犯の息子”の烙印(らくいん)を押され、母親の借金の返済に追われる青年・片山優(横浜)は、ごみの最終処理場で無気力な人生を送る。そんなある日、幼なじみの美咲(黒木華)が東京から戻ったことをきっかけに、生きる希望を見つける。

 ★春に散る 沢木耕太郎氏の同名小説を映画化。不公平な判定で負けて米国に渡り、40年ぶりに帰国した元ボクサーの広岡仁一(佐藤浩市)の元に、同じく判定に不満を抱え、一度はボクシングをやめた青年・黒木翔吾(横浜)が現れる。広岡は翔吾をゼロから鍛え上げ、世界チャンピオンを目指していく。

 ◆横浜 流星(よこはま・りゅうせい)1996年9月16日、神奈川県出身。27歳。雑誌モデルを経て、2011年に「仮面ライダーフォーゼ」でドラマ初出演。14~15年の「烈車戦隊トッキュウジャー」で注目を集める。18年「兄友」で映画単独初主演。19年のTBS系ドラマ「初めて恋をした日に読む話」でブレイク。20年に日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。身長174センチ。血液型O。

 ▼主演男優賞 選考経過 横浜流星、鈴木亮平、豊川悦司の三つどもえとなったが、1回目の投票で横浜が大多数の票を集め圧勝。「一瞬で自分の世界に惹(ひ)き込む彫りの深い身体表現の魔力に感嘆」(見城)、「陰のある役もできる。ボクシングシーンでは殴打されることもいとわない体を張った演技。売れっ子の爽やかさを見事に封印していた」(木村)

 【選考委員】 荒木久文(映画評論家)、木村直子(読売新聞文化部映画担当)、見城徹(株式会社幻冬舎代表取締役社長)、藤田晋(株式会社サイバーエージェント代表取締役)、松本志のぶ(フリーアナウンサー)、YOU(タレント)、LiLiCo(映画コメンテーター)、渡辺祥子(映画評論家)の各氏(50音順、敬称略)とスポーツ報知文化社会部デスク及び映画担当。

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