【番記者の視点】想像できなかった神戸初Vにざんげ…「ビジョン」を超えた、吉田孝行監督の「信念」の強さ

スポーツ報知
優勝しシャーレを掲げる吉田孝行監督(左)と三木谷浩史会長(カメラ・岩田 大補)

◆明治安田生命J1リーグ▽第33節 神戸 2―1 名古屋(25日・ノエビアスタジアム神戸)

 【神戸担当・種村 亮】首位の神戸は、元日本代表FW大迫勇也の2アシストの活躍でホームで名古屋に2―1で勝利。1997年のJリーグ加盟から27年目のシーズンに悲願の初優勝を果たした。

 「誰一人、ヴィッセルが優勝する姿はメディアの皆さんは想像できなかったと思う」。試合後、吉田孝行監督の会見でのコメントが、自分に言われているようでドキッとした。…白状します。優勝するとは思ってませんでした。開幕前の順位予想は8位にしました、すみません。

 チームを取材して5年目になる。8位、14位、3位、13位。昨季までのリーグ戦順位が示す通り、シーズンによって成績が激しく上下する波のあるクラブだった。監督が代わる度にサッカーも変わり、その度に選手補強が繰り返された。在籍時、近年の優勝クラブである川崎や横浜FMを例に挙げ「ヴィッセルには中長期的なビジョンが必要」と何度も訴えたGK飯倉大樹(現横浜FM)の言葉は今も胸に残っている。

 では、一度も上位から転落することなくリーグを制した今季の神戸は、そうしたビジョンがあったから優勝できたのだろうか。個人の見解を言えばそうは感じなかった。昨季、J2降格圏から抜け出すために無我夢中で活路を見いだしたチームが、勢いそのままに頂点へと駆け上がっていった印象が強い。

 ただ、そこには信念があった。吉田監督は自身が求める強度、ハードワークを体現できなかった選手をピッチに送り出すことはなく、結果、出場機会を失った元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタは退団という道を選んだ。元日本代表FW大迫勇也は「タカさん(吉田監督)自身、難しい決断はたくさんあったと思う。でもサッカーだけを見て、ぶれずに決断してくれたので本当に説得力があった。来年、僕が調子悪くて外されてもタカさんだったら許せるかな、と思えるくらい素直なんで。サッカーに対して」とまで言った。指揮官がどこまでも“ガチンコ”だったことが伝わってきた。

 今でもビジョンは必要だと思っている。が、今年の神戸の信念はそれを凌駕(りょうが)した。ビジョンだけでは測れない強さに敬意を表したいし、自分の尺度でしか見ていなかったことを深く反省したい。

 クラブは吉田監督に来季も続投を要請する方針を示しているが、続投が決まっても戦い方がどうなるかは分からない。大迫ら代えがきかない主力が多いため、どんな編成ができるかでコンセプトも見えてくるだろう。ただ、どんなスタイルにせよ今季のように信念を貫くことができれば、来シーズンもリーグをけん引できる可能性はある。そんなことを考えながら、来年は何位に予想しようかと早くも頭を悩ませている。

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