【番記者の視点】横浜FCに見せて欲しい、未来につながる今季最後の90分

スポーツ報知
J1残留への大事な試合に敗れ厳しい表情を見せる横浜FCイレブン(カメラ・竜田 卓)

◆明治安田生命J1リーグ第33節 横浜FC0―1湘南(25日・ニッパツ三ツ沢球技場)

 【横浜FC担当・田中孝憲=@sph_tnk】「ずっとずっと、共に戦っていきたい―」その言葉に、井上潮音は泣いていた。隣の山下諒也が肩を抱く。サポーターがこみ上げる思いで声を震わせ読んだ、MVP表彰状につづられた感謝の思い。冷える曇り空の三ツ沢に、クールな26歳の涙がこぼれ落ちた。

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 前半、湘南をシュート0本に抑えた。これまでなら横浜FCの勝ち試合のパターンだ。「たられば」になるが、前半にあった複数のチャンスで決め切っていれば、違った展開となっただろう。

 そして1点を先行された後、前半のような推進力に欠けた。四方田修平監督は「ここまで(の試合は)近藤(友喜)の投入によってチャンスを増やしたり、得点につなげて流れを変えられていた。今日の試合は、そこがしっかり押さえられてしまった」と攻撃に手詰まり感があった要因を語った。

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 得失点差を考えると、J1逆転残留は厳しい。監督も選手も、そのように受け止めている。片原大示郎社長は最終戦のセレモニーで「この結果はしっかりとクラブとして受け止めます。皆さんにもっと熱く、もっと激しく応援していただけるチームを、しっかりと作っていきます」とサポーターに約束した。

 主力として活躍した選手には、移籍オファーが舞い込むだろう。だからこそ現実を見据えると、クラブは1年でJ1に復帰する道筋を早く示したい。再びチームを一から構築するのは、J2とはいえ大きなチャレンジとなる。そのことは、昇降格を繰り返してきた横浜FC自身が身にしみて感じているはずだ。

 第33節の先発メンバー平均年齢は26・55歳。これは鹿島、新潟(ともに26・36歳)、柏(26・45歳)に次ぐ若さだった。継続か、作り直しか。今後のかじ取りが注目される。

 残りは12月3日の鹿島戦(カシマ)のみ。J1での経験が少なかった選手たちにとっては、1年間戦い、何ができて何ができなかったのか、振り返る1週間になる。四方田監督は湘南戦後のロッカールームで「横浜FCのプライド」を持って戦うことを呼びかけたという。

 チームに残って1年でJ1復帰を目指すか、オファーを受けるか。どちらを選択するにせよ、全ての未来につながる90分を戦いきって欲しい。それが悔し涙で濡れたサポーターへの、せめてもの恩返しになる。

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