伊集院静さんは、東日本大震災をきっかけに夏目雅子さんのことを語り始めた 記者が「悼む」

スポーツ報知
伊集院静さん

 24日に亡くなった作家・伊集院静さんとは、何度かインタビューをさせていただいた。絵に描いたような豪放磊落(らいらく)。ギャンブルを好み、友情と愛情をまず第1に考える印象だった。

 2014年、伊集院さんは小説「愚者よ、お前がいなくなって淋しくてたまらない」を発表した。そこに夏目雅子さんを思わせる記述があった。今まで伊集院さんが夏目さんの話をしたという記憶は、私にはない。不思議に思って訪ねてみると「東日本大震災があったからだよ。仙台の自宅も壊れてね」と打ち明けてくれた。「あれから、死ってやつを身近に考えるようになって。死をテーマにした自伝的小説を書こうと思ったんだ。人の死を書くんなら、雅子さんのことを避けて通れない」。

 現在の妻である篠ひろ子には「雅子さんのこと、書いていいかな」と相談すると「いいんじゃないですか」と温和に了承されたという。「嫌だって言ったら一切書かなかった。俺にとっては、雅子さんより生きている人間の方が大事だからよ」。雅子さん、の呼び方に篠への思いが見て取れた。

 私が「奥さんのことはほっとくようなタイプだと勝手に思ってました」と軽口を叩くと、こんな言葉が返ってきた。「かつて、松井(秀喜)に言ったんだ。女優を嫁にするな、99%は自分勝手だからよって。でも俺は、例外の1%に2回連続で出会うことが出来たんだ」。2人の伴侶が伊集院さんの真っすぐな生き方を支えていたことを理解した。(樋口 智城)

芸能

×