箱根駅伝メンバー争いの上尾ハーフマラソンは来年以降、スタート方法を改善

スポーツ報知
上尾シティハーフマラソンで一斉にスタートする選手たち

 例年、箱根駅伝に出場する各校がメンバー選考と位置づける上尾シティハーフマラソン(19日、埼玉・上尾運動公園陸上競技場発着=21・0975キロ)でスタート位置をめぐり、一部で混乱が生じた問題について、大会主催者は22日、来年以降、スタート方法の改善を図る考えを明かした。「より安全な大会とするため、スタート方法の改善など検討を重ねていきます」と主催者はコメントした。

 箱根駅伝の約1か月半前に開催される上尾ハーフマラソンの大学男子の部は例年、出場各校がメンバー選考の重要な材料としている。学生ランナーにとって、夢と人生をかけた21・0975キロだ。

 大学男子の部のスタートの位置について大会主催者は招待大学をスタートラインから第1ブロックに8校、第2ブロックに8校、第3ブロックに7校を振り分けた。各ブロックを8人としているため、第3ブロックのチームは先頭の選手でも17列目。招待大学以外のチームは第3ブロックの後方とされた。また、招待選手のプロランナー川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)や実業団選手は大学男子の部とは別に左側にスタート位置が用意された。

 招待大学の23校のブロック分けについて、実績に関係なく、当日の朝にチーム代表者による抽選で決定。そのため、第100回箱根駅伝(来年1月2、3日)に出場しない大学が第1ブロックに、前回の箱根駅伝優勝の駒大、同2位の中大などは第3ブロックに振り分けられた。

 ただ、実際のスタートでは抽選で決まった位置ではない並び方となり、一部で疑問の声が上がっていた。大会主催者は「今回のスタート問題については認識しています。実業団の列について、整列係が『招待選手のほか65分以内の記録の方は前に』というアナウンスをしました。全体に向けてのアナウンスではありませんでしたが、それで前に出てきた選手がいたようです。(抽選の後)大会側では大学の並びの入れ替えは行っていません」などと説明した。

 抽選では第3ブロックとなっていたが、第1ブロックの位置からスタートした駒大の藤田敦史監督(47)は選手から聞き取りした内容を明かした。「最初は言われた通りに後ろの位置にいましたが、他大学の選手に『危ないと思うので、前にどうぞ』というようなことを言われたそうです。大会側からも『65分以内の選手は前に』とアナウンスがあったため、前方に行きました」と説明した。その上で藤田監督は「大会側として持ちタイム順に並ばせるなど明確にすれば、このようなことは起きないのでは。ただ、駒沢大としても今回の出来事を真摯(し)に受け止めています」と話した。

 以前は競技場内からスタートしていたが、競技場の出口(マラソンゲート)が狭く「渋滞」が発生したため、安全を考慮し、競技場の北側の道路にスタート地点が移された。それでも、道路幅が狭いため、スタート地点は例年、大混雑しており、今回もスタート位置をめぐる混乱があり、また、スタート直後には複数の学生ランナーが転倒する事態が発生した。

 同じ学生ランナーでも実力差によってスタート直後のスピードは大きく異なる。実力下位の選手が前方で、実力上位の選手が後方からスタートすると安全面で大きな問題が生じる。

 東海大の両角速監督(57)は「大学によってスタート位置が入れ替わったこととの因果関係は分かりませんが、今回、主力選手がスタート直後に転倒し、途中棄権をしました。場合によっては箱根駅伝に出られないかもしれません。今後、このようなリスクが減るようなスタートの並び方を考えていただきたい」と提言した。

 今回の問題と各大学の意見を受けて、主催者は来年大会以降の改善を図る方針を決めた。「今大会で起きたことを詳しく検証し、来年大会に向けて、各関係者の皆さんの意見を聞き、スタート方法をはじめとして、より安全な大会とすることを検討していきます」と主催者は明言した。

 今大会の大学男子の部は、山梨学院大のブライアン・キピエゴ(1年)が大会新記録の1時間1分7秒で優勝した。2位は早大の山口智規(2年)で1時間1分16秒。21年東京五輪男子マラソン6位入賞の大迫傑が早大1年時の2010年の上尾でマークした1時間1分47秒の早大記録を14年ぶりに更新した。3位は法大の松永伶(4年)で1時間1分56秒だった。

 男子の部ではJR東日本でコーチを務める34歳のポール・クイラが大学の部より速い1時間0分47秒で優勝。2024年パリ五輪マラソン日本代表選考会(MGC、10月15日)で積極果敢なレースで4位と大健闘した川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)は招待選手として参加し、1時間3分11秒と相変わらずの力走を見せた。

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