J1で最下位の横浜FCは25日に勝ち点差2で17位の湘南と直接対決する。J1残留争いの大一番へ、横浜FCのベテランMF三田啓貴(33)が闘志を燃やした。
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「勝ちますよ。そりゃ」
三田の短い言葉に、決意がにじんだ。勝てば最終節を残し、勝ち点で湘南を上回る。そして前節・鳥栖戦からの3連勝締めは、自力でのJ1残留を意味する。「この前、アウェーで苦しいゲームを勝ってきたからこそ、それを無駄にしないためにも、絶対に勝ちたいです」と自らに誓った。
横浜FCは今季、約半数の選手を入れ替えてJ1に挑んだ。三田自身もFC東京からの新加入選手だった。選手同士がお互いの特徴もつかめず、手探り状態の序盤だった。「J1を経験していない選手や若い選手が多い中で、やっぱり難しかったのかな、と正直に思うところはあります」リーグ開幕10戦勝ちなし。かみ合わない攻撃。ミスから始まる大量失点。重苦しい成績でも、チームから明るさだけは消えなかった。
そして11節の新潟戦。4バックから3バックに変え、初白星をつかんだ。「やっぱり残留を争うチームって、まずはインテンシティで戦わないと。守備から入らないと戦えない」と痛感した。守備に落ち着きが出て、場数もこなした選手たちに自信が芽生えてきた。
「いいチームになってきた」
三田は今、取材のたびのこの言葉を口にする。「いい若手、若い選手もいるから。やっぱり来年もみんなJ1でやりたいと思う」と年長者らしく、チーム全体に目配りする。そして「何とか残留をして。そうしたらまた来年いいチームになって、いいシーズン迎えられると思うので。本当にここっす。もったいないです。残んないと」と力を込めた。
だからこそ、33歳は練習で誰よりもプレーが激しく、若々しい。「まだまだ現役を続けるためにも、若手には負けてられねぇな」と不敵な笑みを浮かべる。プロの厳しさを知るからこそ、妥協を排してきた。
湘南戦は、自身のサッカー人生をかける戦いとなる。「みんなで1つになって、夏に補強もせずに、今いる選手でここまでやって来れたって、すごいことだと思う。だからこそ、絶対残留しないと。これで残留しなかったら意味ないんで。死ぬ気でやるだけですね」横浜FCイレブンへの熱い思いを秘めて、三田が決戦のピッチに立つ。
(田中 孝憲)