◆第54回明治神宮野球大会最終日▽高校の部・決勝 星稜3―1作新学院(20日・神宮)
高校の部は、星稜(北信越)が作新学院(関東)に競り勝ち、元巨人、ヤンキースの松井秀喜氏(49)=ヤンキースGM付特別アドバイザー=を擁して優勝した91年以来3度目のV。山下智将(としまさ)監督(42)は、名門を築き上げた父・山下智茂元監督(78、石川・門前高アドバイザー)に続く明治神宮大会制覇を成し遂げた。来春センバツの神宮大会枠は、北信越地区が獲得した。
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星稜は昨年、今年と夏の甲子園に出場したが、ともに初戦で敗れている。昨年は愛工大名電(愛知)戦で2回までに10失点。今年の創成館(長崎)戦も2回までに6失点。屈辱的な内容だった。
今大会の広陵との1回戦でも、1回に3点を失った。「またか…」の思いがよぎったが、このチームは反発力が違っていた。3回に5安打で5点を奪って逆転。4番を務める萩原獅士(れお)三塁手(2年)は、プラス思考の重要性を口にした。
「旧チームで聞かれた『やばいな』などのマイナスの言葉ではなく『まだ初回だぞ』とプラスの声かけをしています。(1年生投手の)道本(想)には『5点までは大丈夫』と言ったりしました」
甲子園での惨敗を2度も味わった現在の2年生は「あの頃の星稜は甘かった」という意識を共有している。山下監督が「謙虚で向上心が高い」と信頼する選手たちが、全国で勝つために必要な条件を徹底的に追い求めた先に、秋の日本一があった。(浜木 俊介)