琴ノ若が豊昇龍を圧倒した。豊昇龍のもろ手の突っ張りを下から跳ね上がるようにかわして組み止めた。右を差して左上手を取った。強引に引き付けて土俵際まで持っていき、最後は逆転技を警戒しながら両手を離して胸を突いて寄り倒した。持ち味である重さとスピード。さらに、連敗を止めた白星には理詰めな攻めも見ることができた。
私は大関昇進の目安とされている3場所33勝という数字をあまり気にしていない。実際に私は31勝、失礼とは承知しているが、北の富士さんは28勝で昇進している。内容が重要だ。
7日目、宇良にとったりで負けた一番は腰高で遅い攻めという悪い癖が出てしまった。この日のように速い攻めを心がけていけば大きな体が生きる。大関もたぐり寄せることができる。佐渡ケ嶽門下生は「琴桜」の復活を夢見てきた。こうなったら、もう夢見る男じゃいられない。(スポーツ報知評論家)