オートレーサーの森且行(49)=川口・25期=は19日、川口オートレース場の第10R「準々決勝戦」に出走。8車立ての最後方からシャープな差し足を披露して、先行勢7車を鮮やかに切り崩して1着ゴールを決めた。1997年6月27日に選手登録されて以来、通算700勝を達成した。
区切りのメモリアルウインを飾り、勝者は誇らしげな笑顔と照れ笑いをミックスさせながら、会心の表情で「700勝」を表すポーズを両手で作った。「700勝、700勝ってみんなは言うけれどさ、自分はそこまで気にはしていなかったですけれどね。この体じゃあ、たぶん1000勝は難しそうだから、次は777勝(トリプルセブン)を目指して頑張ります(笑い)」
芸能界からこの世界へとやって来て、いいことも、そうでないこともたくさんあった。SG(20年日本選手権)に勝利して、日本一の座にそびえ立った。2年前には痛ましい落車事故に遭遇して、レーサー生命を絶たれそうな大ケガを負った。栄光も挫折も両方ともとことん味わった。
そして、奇跡のカムバックを果たし、ついに700回目の1着ゴールをここに達成した。生涯の勝率は22%をやっと超える程度で、実は勝つことよりも負けることの方がはるかに多かった。それでも、「オートレースが好きだから。この仕事をするために、ここに来たんだから」と苦しい時ほど、もがきながら手を動かし続けて、エンジンを作った。まるで小学生が難しいプラモデルを作るかのように、難解なドリルを解くみたいに、目をキラッキラと輝かせながら、オートレースに取り組んできた。コース上でのさっそうとした姿は万人の知るところだが、バックヤードで、人目の届かないところで彼は奮闘の限りを続けてきた。改めて、森且行選手、700勝達成おめでとうございます。ご本人は「1000勝は無理だよ」と言いますが、森さんなら絶対に届きますよ、2000勝にだって。