「守れることは勝つこと!」。この言葉が頭にこびりついて離れません。
11月12日、ベガルタ仙台と町田とのリーグ最終戦。私はこの試合の実況を担当しました。町田はすでにJ2優勝とJ1昇格を決め、新たなステージにげる締めくくりの試合。一方、仙台は目標のJ1昇格は遠く及ばず、リーグ最終盤でようやくJ2残留が決まるという苦悩しながら迎えた最終戦。試合開始前に「両チームとも来季の躍進に向け、次なる一歩を踏み出すための大事な試合です」と実況しました。
試合は仙台の完敗。戦い方の方向性が定まらなかった今季を象徴する敗戦。ホーム最終戦を勝利で飾れず、最終順位16位で2023年の戦いを終えました。
試合後の勝利監督インタビューで、町田の黒田剛監督があの言葉を発しました。「我々が春先から志向していた戦いができた。守れることは勝つこと! 勝利にがる!」
黒田監督は青森山田高サッカー部の監督を28年間務め全国高校選手権を3度制するなど高校サッカー界きっての名将ですが、今年、初めてプロサッカーリーグの監督に就任。J初采配の黒田監督に対する「懐疑論」や「限界論」といった周辺にはびこる喧騒(けんそう)は、J2優勝とJ1昇格という結果で見事に沈黙させました。貫いたのは“堅守”。
仙台は開幕当初、高度な戦術を取り入れた守備重視の戦い方を標ぼうしていましたが、複雑な盤上を前にチームは好手を打てず、守備基盤を形成することができませんでした。
信念ぶれずに戦ったJリーグ革命の旗手の言葉「守れることは勝つこと」が仙台に浸透していれば、また違ったシーズンになったのではないかと考えさせられここ数日頭から離れません。来季こそ一貫した志でJ1へ!