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遊漁船の救命いかだ義務化に反発「KAZUⅠ」事故受け国交省が急きょ方針転換 パブリックコメントを募集

スポーツ報知
相模湾で操業する遊漁船(写真はイメージ)

 国土交通省が打ち出した小型旅客船等の安全対策に遊漁船側からとまどいや反発の声が上がっている。2022年4月、北海道知床沖で起きた観光船「KAZU 1(カズワン)」の沈没事故を受け、国土交通省は知床遊覧船事故対策検討委員会を設置、そこで「法定無線設備の見直し」「非常用位置等発信装置」「改良型救命いかだ等」を義務化の方針を打ち出した。

 今年4月26日の国土交通省が出した資料には「遊漁船は除く」と明記されていたにもかかわらず、10月に突然、関東地方の各遊漁船に救命いかだの搭載などを促す文書が届いた。この間の方針転換に関して遊漁船関係者への意見聴取などは一切行われていなかった。改良型救命いかだや無線、非常用位置等発信装置の設置には、1隻につき最低でも200万円を超す費用が必要となる。遊漁船には数年ごとの定期点検や買い替えなどの費用が重くのしかかる。

 さらに100キロを超すいかだ(25人乗り)を設置した場合、船の重心が変わり安全性に影響する。船の復原力などを改めて計算する必要がある。しかし、検査を担当する日本小型船舶検査機構(JCI)は全国に32か所しかなく、短期間で数万隻といわれる遊漁船を検査することは難しい。

 2日、国土交通省や水産庁、遊漁船関係者らが出席した意見交換会では、遊漁船関係者が「KAZU 1と遊漁船では営業する海域の水温が全く違う。それをひとくくりにするのは納得できない」「負担額が大きく廃業を考えなくてはならない」と反発。義務化の方針に遊漁船が含まれるようになった経緯についても国土交通省から明確な答えは返ってこなかった。

 なお、国土交通省では今回の件について12月1日までパブリックコメントを募集している。「船舶安全法施行規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集について」(https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155231024&Mode=0)。

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