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幕内・熱海富士 静岡県勢初賜杯お預けも…市民、恩人、後輩たちが地元で大声援

スポーツ報知
優勝決定戦を見守る地元住民ら

 静岡県勢初Vの夢はあと一歩届かなかった。勝てば優勝の一番で東前頭15枚目の熱海富士(21)=伊勢ケ浜、飛龍高出=は、元大関で西前頭2枚目の朝乃山(29)=高砂=に寄り切られた。11勝4敗で並んだ西大関・貴景勝(27)=常盤山=との優勝決定戦でも敗れた。惜しくも、賜杯には届かなかったが、母校・飛龍高や熱海市役所で開催されたパブリックビューイング(PV)では、駆けつけた後輩や市民から拍手が送られた。

 熱海市役所PV会場には約120人が駆け、熱海富士を応援した。

 小学4年から1年間、学童野球でプレーした。当時コーチとして指導していた青山康二さん(58)=写真=と安田貴博さん(50)は、モニターを見入る。青山さんは「走るのが苦手で野球には向いていなかった(笑い)。体がデカく、当たれば大きい。三振かホームランの選手だった(笑い)」。印象的だったのは特大おにぎりだ。チームではお昼ご飯がおにぎり2個というルールがある中で、持ってきたのは通常より4倍ほどの大きさの物を2個。「おなかいっぱいになりすぎて午後の練習の時には体が動けなくなっていた」。変わらない表情の豊かさ、バットを円を描くようにグルグル回し打席に入る姿に練習試合では相手チームも愛らしさから笑みを浮かべていたと振り返った。

 優勝決定戦を前に「熱海富士ーっ」とひときわ大きな声をあげた後援会の副会長の渡辺修一さん(65)=写真=は、熱海富士が中学生から通う耳鼻咽頭科クリニックの院長だ。高3の秋頃に、母・奈緒さんから相撲部屋入りか、大学進学の相談を受け、力士への道を後押しした“恩人”でもある。現在も帰省時に交流。「高校の時は優しい子で坊ちゃんみたいな顔をしていたが鍛錬を重ねていくうちに、キリッとした顔になってきた」と話す。大関に敗れ優勝は逃したが、「上位相手に勝負ができていた。来場所は難しい対戦が続くと思うが、勝ち越せば“本物”になれる」と、21歳の未来を楽しみにしていた。(伊藤 明日香)

 元幕内・磋牙司の磯部洋之さん「残念でした。でも、優勝は運も必要なので。最後まで盛り上げたんだからたいしたものです。来年中に三役に上がってほしい」

 小学生のころの熱海富士を指導した三島市相撲連盟・杉山信二会長「ここまでよくやった。将来的には横綱を目指してほしい」

 〇…母校・飛龍高では相撲部員や学校関係者60人が観戦した。優勝決定戦で敗れた瞬間はため息が漏れたが、時間が経つと自然と健闘をたたえる拍手が起こった。卒業後に角界入りを目指す白坂湧人(3年)は「真っ向勝負が見たかった」と肩を落としたが、「僕も早く活躍できるように頑張りたい」と、先を見据えた。同じく大相撲入りを予定している松本莉音(3年)は「負けたのは悔しいけど、自分も将来、熱海富士関と対戦したい」と、楽しみにしていた。

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