◆関西六大学秋季リーグ戦 第4節2回戦 大商大3―0龍谷大(24日・わかさスタジアム京都)
10月26日のドラフト会議で上位候補に挙がる大商大の高(たか)太一(4年)が、リーグ戦初完封勝利を飾った。最速151キロ左腕は、巨人など7球団のスカウトが視察する前で粘投。大商大は1勝1敗とした。
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執念が勝った。9回2死二、三塁、大商大の高は、この日の123球目で遊ゴロに抑え、27個目のアウトを奪った。毎回の10安打を浴びたが「1点もやらない気持ちで投げた」と胸を張った。右足親指にマメができ、万全ではない状態でも自慢の直球を主体にリーグ戦初完封勝利を挙げた。
水野スカウト部長ら3人態勢で視察した巨人・渡辺スカウトは「真っ直ぐが強くて角度がある。将来的な伸び幅も魅力的」と評価した。ソフトバンク・永井スカウト部長も「制球力が成長した。先発としての能力も見え始めている。ローテーションに入れる素材」と熱視線を送った。
広陵(広島)時代の2年冬、志願して外野手から投手に専念した。同級生には河野佳(広島)、ドラフト候補左腕の石原勇輝(明大)らがおり、8番手でスタート。「こんなすごいやつがいるのか」と、一度はプロをあきらめた。昨年は1学年上の伊原陵人(NTT西日本)がドラフトで指名漏れ。衝撃が大きく「(プロは)どんな場所なのか。戦ってみたい」。未知の世界に進む決意ができ、目の前の一球にこだわりを強めた。
目標は、同じ左腕の元中日・今中や阪神・伊藤将。直球を軸に、一線級の変化球を操るスタイルに憧れる。2日にプロ志望届を提出。「チームを勝たせる」。4季連続Vの先に、輝かしい未来が開かれる。(直川 響)
広島・鞘師スカウト「素材はいい。何年後かに化ける可能性がある」
◆高 太一(たか・たいち)2001年7月26日、愛媛・新居浜市生まれ。22歳。船木小2年から船木パイレーツで野球を始める。船木中では今治中央ボーイズに所属。広陵では3年センバツで東邦との2回戦に登板して敗退。3年夏は背番号10。大商大では1年秋にリーグ戦初登板。3年秋にベストナイン。変化球はスライダー、フォーク、カーブ、チェンジアップ、ツーシーム。180センチ、80キロ。左投左打。