青学大の原晋監督(56)は23日、今季の学生3大駅伝開幕戦、出雲駅伝(10月9日、島根・出雲市=6区間45・1キロ)に向けて「イット!大作戦」を発令した。この日、行われた青学大同窓祭の「陸上競技部応援ステージ」で学生3大駅伝恒例となった「大作戦名」を高らかに発表した。
出雲駅伝で5年ぶり(4大会ぶり)5回目の優勝を目指す青学大は、主力の佐藤一世(4年)と太田蒼生(3年)のほか、大器と期待されながら2年時まで一度も学生3大駅伝出場がない鶴川正也(3年)と野村昭夢(3年)が満を持してメンバー入りした。また、3000メートル障害で日本学生歴代4位(8分27秒80)の記録を持つスピードランナーの小原響(4年)、5000メートルと1万メートルでいずれもチーム2位のタイムを持つ若林宏樹(3年)、新エース候補の黒田朝日(2年)、絶好調ルーキーの鳥井健太がメンバーに名を連ねた。
「ほぼベストメンバーがそろいました! 出雲で5年ぶり5度目の一等賞を狙います。名付けてイット!大作戦です」と原監督は胸を張って話した。
原監督は出雲駅伝を中継するフジテレビ系のニュース番組「Live News イット!」にコメンテーターとして出演中。作戦名には、ちゃっかりと「番組宣伝」の狙いもある。
原監督の「大作戦発令」は、すっかり恒例となった一方で一部では「マンネリ」という声もあるが、箱根駅伝が第100回大会を迎える今季も続行するつもりだ。昨季の学生3大駅伝は、出雲駅伝4位、全日本大学駅伝と箱根駅伝が3位。3冠を果たした駒大に完敗した。巻き返しを図る今季もブレずに青学大らしさく戦う。
昨季、圧倒的な強さを見せた駒大は今季も強力。初戦の出雲駅伝では優勝候補筆頭として3大駅伝4連勝を狙う。名門の中大はエースの吉居大和(4年)を中心に戦力が充実。昨季の出雲駅伝と全日本大学駅伝2位の国学院大も勢いに乗っている。今季の大学駅伝も初戦の出雲路から熱戦が繰り広げられることは間違いない。
青学大の出雲駅伝登録メンバーは以下の通り。
佐藤 一世(4年)
山内 健登(4年)
小原 響 (4年)
倉本 玄太(4年)
若林 宏樹(3年)
太田 蒼生(3年)
鶴川 正也(3年)
野村 昭夢(3年)
黒田 朝日(2年)
鳥井 健太(1年)
◇青学大・原晋監督発令の大作戦シリーズと結果◇
13年箱根駅伝 Z大作戦(エース出岐雄大を切り札としてアンカーに起用。アルファベットの最後のZが由来)8位
14年箱根駅伝 S大作戦(9、10区に世羅高出身の藤川拓也、竹内一輝を並べて勝負。世羅のSが由来)5位
15年箱根駅伝 ワクワク大作戦(原監督「初優勝できるかもしれない。ワクワクしている」。大作戦が初めて全国的に認知された)優勝
15年出雲駅伝 青トレ大作戦(中野ジェームズ修トレーナーの指導による体幹トレーニングの効果をアピール)優勝
15年全日本大学駅伝 あっぱれ大爆走大作戦(原監督「会見で司会者に急に振られて即興で考えた」。準備不足がたたり敗戦)2位
16年箱根駅伝 ハッピー大作戦(原監督「選手、スタッフ、監督、コーチ、OB、ファン全員がハッピーになるレースをします」)優勝
16年出雲駅伝 神ってるぞ青山大作戦(広島県出身の原監督がプロ野球・広島の緒方孝市監督が発した流行語をヒントに命名)優勝
16年全日本大学駅伝 エビフライ大作戦(原監督「(開催地の)名古屋と言えばエビフリャー。頭から尻尾まで全部おいしい」)優勝
17年箱根駅伝 サンキュー大作戦(3連覇&3冠を目指す。原監督となって9度目の出場。感謝の気持ちで臨む)優勝
17年出雲駅伝 陸王大作戦(原監督が出演したTBS系ドラマ「陸王」の番組宣伝? フジテレビ系放送の出雲では相性が悪く敗戦)2位
17年全日本大学駅伝 青山祭大作戦(学園祭シーズン。「打ち上げ花火をドンと上げたい」と意気込むも不発)3位
18年箱根駅伝 ハーモニー大作戦(混戦必至だが、指揮者を自任する原監督は「美しいハーモニーを奏でることが出来れば勝てる」)優勝
18年出雲駅伝 ヨロシク大作戦(出雲「4」勝目を狙う。「6」区間の総合力で勝負。ポイントは「4」区の吉田圭太。「9」度目の出雲路に臨む)優勝
18年全日本大学駅伝 メラメラ大作戦(原監督「出雲駅伝を勝ったが、チーム全員満足していない。メラメラ燃えています」)優勝
19年箱根駅伝 ゴーゴー大作戦(原監督「アチチ、アチ、燃えてるんだろうか! 箱根5連覇に向けて郷ひろみさんのように燃えています」。しかし、不完全燃焼で惜敗)2位
19年出雲駅伝 出てこい!駅伝男大作戦(原監督「レースで練習以上の力を出せる駅伝男が出てきてほしい」)5位
19年全日本大学駅伝 私(青学大)失敗しないので大作戦(今大会を放送するテレビ朝日系人気ドラマの主演・米倉涼子の決めゼリフ)2位
20年箱根駅伝 やっぱり大作戦(原監督「やっぱり青学大は強かった、と言わせたい」。宣言通りにV奪回)優勝
20年出雲駅伝 ※新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会中止
20年全日本大学駅伝 コロナに負けるな!大作戦(原監督「選手、監督、大会関係者、ファン全員でコロナに勝とう!」)4位
21年箱根駅伝 絆大作戦(原監督「未曽有のシーズンの箱根駅伝では駅伝の原点である絆を大切して戦いたい」)4位
21年出雲駅伝 結(むすび)大作戦(原監督「縁結びの神様として名高い出雲神社からスタートするレースに団結して臨む。コロナ禍が早く終結することを願う」)2位
21年全日本大学駅伝 男前大作戦(原監督「青学大のイケメン(男前)ランナーが『男だろ!』のかけ声で力を発揮する駒大の前でレースを進める積極策で優勝狙う」)2位
22年箱根駅伝 パワフル大作戦(原監督「選手、マネジャー、スタッフの『力』を結集してパワフルに戦います」)優勝
22年出雲駅伝 パチパチ大作戦(原監督「まだコロナ禍の影響で大声の応援は難しいですが、すべての学生ランナーにパチパチと大きな拍手を送っていただきたい」)4位
22年全日本大学駅伝 プライド大作戦(前年度の箱根駅伝王者のプライドをかけて臨む)3位
22年箱根駅伝 ピース大作戦(原監督「世界中が平和になることを願う。平和であってこそ箱根駅伝が行われることに感謝)3位
22年出雲駅伝 イット!大作戦(5年ぶりの一等賞を狙う。出雲駅伝を放送するフジテレビ系のニュース番組「Live News イット!」の番宣も兼ねる)