第100回箱根駅伝予選会(10月14日)の試走会が23日、東京・立川市の陸上自衛隊立川駐屯地と国営昭和記念公園で行われ、4年ぶりの復活出場を目指す日大は、コース序盤の駐屯地滑走路などを入念にチェックした。今年5月10日に就任した新雅弘(しん・まさひろ)監督(62)は「予選会で目標の順位などはありません。目標は通過することだけです」と冷静に話した。予選会はハーフマラソン(21・0975キロ)を全選手が一斉スタートし、上位10人の合計タイムで争う。100回記念の今大会は例年より3校増の上位13校が本戦の出場権を獲得できる。前回の本戦で優勝した駒大を始め、上位10校はシード校。
日大は箱根駅伝で優勝(12回)、出場(89回)ともに歴代3位を誇る名門だが、最近は3年連続で予選会敗退。再建の切り札として、昨年12月の全国高校駅伝で岡山・倉敷高を3度目の優勝に導いた日大OBの新監督が就任した。新監督は「大学駅伝については素人です」と謙遜しつつ「大事なことは土台作り。それは大学生も高校生も同じ」と話す。倉敷高で指導37年、3度も全国高校駅伝を制した貫禄が漂う。
この夏、北海道・釧路や長野・菅平高原などで3回、計34日の合宿を行い、練習を積んだ。多くの大学は30キロ走を行うが、新監督は「うちは25キロ走までです。地道にできることをコツコツとやっています。そのため故障者はいません」と明かした。
ケニア人留学生のシャドラック・キップケメイ(1年)は6月17日の全日本大学駅伝関東選考会1万メートルでは29分30秒21を要して全出場160人中30位、留学生では最下位に終わったが、9月14日の日本学生対校選手権1万メートルでは気温32度の悪条件の中、28分17秒38で2位と好走した。「夏までは貧血で苦しんでいましたが、食事などを見直し、改善しました。ハーフマラソンは初めてですけど、1時間1分台では走ってくれると思います」と指揮官は話す。
現在、日大ではアメリカンフットボール部が違法薬物問題に揺れ、寮の閉鎖と活動停止に直面。ラグビー部でもいじめ問題、警視庁への被害届提出が報じられている。日大全体には“逆風”が吹いているが、日大駅伝チームは真摯(しんし)に競技に取り組んでいる。新監督は「選手はみんな真面目です。よく練習しています」と明言する。今回は箱根駅伝は第100回記念大会。節目の90回目の出場に向けて、日大ランナーはひた走っている。
◇日大 1921年創部。箱根駅伝には22年の第3回大会で初出場。35年からの4連覇を含め優勝12回。出雲駅伝は優勝5回、全日本大学駅伝は優勝3回。3大駅伝20勝は駒大(27勝)、日体大(21勝)に続き、早大と並んで3位。タスキの色は桜色。主な陸上部OBは56年メルボルン五輪男子マラソン5位の川島義明、箱根駅伝2度出場の俳優・和田正人、2016年リオ五輪男子400メートルリレー銀のケンブリッジ飛鳥ら。
◇第100回箱根駅伝予選会開催要項
▽日時、コース 10月14日午前9時35分、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地をスタート。立川市街地を回り、国営昭和記念公園にゴールする公認コースのハーフマラソン(21・0975キロ)。
▽競技方法 全選手が一斉スタート。各校、10~14人の登録選手の中から10~12人が出場し、上位10人の合計タイムで争う。留学生は登録2人以内、出場1人以内。上位13校が本戦の出場権を獲得する。
▽出場資格 日本学生陸上競技連合男子登録者で22年1月1日~23年10月1日の有効期間内に1万メートル34分以内の公認記録を有すること。
▽関東学生連合 今大会では編成されない。