嵐の松本潤が江戸幕府初代将軍の徳川家康を演じるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜・後8時)の第36回「於愛日記」で、家康の側室・於愛(広瀬アリス)が徳川家に起こる様々な問題を解決に導く。
家康は真田家と北条家の領地をめぐるいざこざに関わっており、真田昌幸(佐藤浩市)は家康の言うことを聞くかわりに徳川側の姫を要求。年頃の娘がなかなかおらず面倒ごとに。また、重臣・鳥居元忠(音尾琢真)が武田家のスパイだった女性をかくまっていたことも発覚。於愛が徳川家内に起こったいざこざを丸く収めようと奔走する。
歴史的には2代将軍・徳川秀忠の母として知られる於愛は、広瀬が演じたように美人で誠実な人柄だったとされている。ドラマになると、どうしても目立つのは主張やクセの強いキャラクター。それでも実際に家庭や組織が成り立つには、温和な潤滑油のような存在が大切だなと思わされる。
前週の第35回「欲望の怪物」(17日放送)では、家康が豊臣秀吉(ムロツヨシ)の家臣になった。大勢の前で頭を下げる前日には、秀吉が宿を訪ねて「よう来てくれたの。やっと…。う、う」とうそ泣き。その後の宴会では、わざと酔いつぶれたそぶり。寝たふりをして秀吉の妻・寧々(和久井映見)と弟・秀長(佐藤隆太)が家康と本音で話しているのを盗み聞きした。
長い付き合いの家康も全てお見通し。うそ泣きには「さような芝居はなしにしましょう」。寝たふりの際も「起きておいででござろう」と見破った。SNSでも「やだーコワイ」「あざと可愛いw」と笑いの声が相次いだ。
考えさせられる場面もあった。秀吉の母・仲(高畑淳子)が井伊直政(板垣李光人)に「さぞお幸せなことと存じます」と言われ「わしは幸せなんかのう。外を出歩くことも許されん。大きな城の隅っこに小さい畑あてがってまって、いらん菜っぱや大根なんぞこさえて…」と言い放つ。おいしい物を食べ、いい着物を着ていても、引き換えに失った自由。人生の幸せとは何かを思わされる。
今月15日にはマイコ、玉山鉄二ら11人の追加キャストが発表されたが、ラスボス的存在となる秀吉の妻・淀君の名前は無かった。番組関係者は「もうキャスト発表はありません」と明かす。このまま、番組内でのサプライズ登場になる可能性が確実。ネットでは様々な考察合戦が展開されている。
第35回の平均世帯視聴率は10・1%で微減。ライバルのテレビ朝日系「ポツンと一軒家」の11・5%に次ぐ数字だった。季節は秋に入り、大河もラストスパートに入る。まだ残っている合戦、逸話を思い出しながら続きを待ちたい。
(NHK担当・浦本将樹)※視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区