浦和・田口社長「『勝利のため』という理由で社会正義に反する行為を行う人をサポーターとは認めません」

スポーツ報知

 日本サッカー協会の規律委員会は19日、天皇杯4回戦・名古屋―浦和戦(8月2日、CS港)で浦和サポーターが暴力行為などに及んだ問題で、浦和に対して24年度の天皇杯の参加資格剥奪とけん責の処分を科すと発表した。

 浦和の田口誠社長は同日、クラブの公式サイトでコメントを発表した。

 「本事案の発生により、これまで多くのサッカー関係者やファン・サポーターのみなさまのご努力によって形成されてきた、スタジアム観戦への好意的なイメージを深く傷つけてしまったことはサッカー界、スポーツ界に身を置く者として痛恨の極みであり、その責任を痛感しております。

 また当然のことと承知しておりますが、本事案発生以降、多方面からご意見、お叱りを頂戴しており、その多くは発生した違反行為へのクラブの対応に関するものでした。

 そしてご指摘の対象は本事案のみではなく、過去において発生した違反事案にも及んでおり、何より、そうしたお声の主の多くが、観戦ルールを遵守しながらチーム、選手を力強くサポートしてくださっている浦和レッズのファン・サポーターのみなさまであったことを大変重く受け止めております。

 言わずもがな、浦和レッズというクラブはファン・サポーターのみなさまと一心同体であり、ファン・サポーターのみなさまによるチーム、選手、そしてクラブへの愛情によって存在し得ています。

 しかしながら、クラブスタッフ全員がそうした強いおもいを抱きながら約30年間、愚直にクラブ運営を行ってきた中でいつしか考えが凝り固まり、眼前に起きる様々な事象への対応から柔軟さや客観的な視点が失われ、過去実績に縛られ過ぎた思考に組織として陥ってしまっていたのではないかとも感じております。

 今回発表いたしました再発防止施策内には、新処分基準の策定を掲げております。

 新基準の策定によって違反行為者に対してより厳しい処分を課すことや、その方針を示すことによって違反行為の発生を抑止することが重要な要素であることは事実ですが、最も重視すべきは、現在取り組んでいる策定業務や他の再発防止施策の実行を通じて、浦和レッズというクラブはいったい何を表現したいのか、誰にどう理解されたいのか、そして誰とどの様に歩んでいきたいのかということを私どもが改めて考え直し、その考えをクラブスタッフ一人一人が場面を問わず実践していくことであると考えております。

 『サッカーのまち 浦和』に生まれ、埼玉サッカー110年の歴史と伝統を引き継ぎ、地域の宝物であるサッカーを始めとしたスポーツ文化を発展させることによって、スポーツが日常にある幸せが広がっていくことを願う私ども浦和レッズは、強くて魅力あるチーム作りに邁進し、全てのカテゴリーにおける全ての試合において勝利のために全身全霊を捧げるという方針に些かの迷いもございませんが、仮に「勝利のため」という理由が伴っていたとしても、社会正義に反する行為を肯定することは絶対にありません。

 そして、『勝利のため』という理由で社会正義に反する行為を行う人を、サポーターとは認めません。

 浦和レッズがパートナー、ホームタウン、そしてファン・サポーターのみなさまと共に実現を目指すものは、『強くて魅力あるチーム』、『安全・快適で熱気ある満員のスタジアム』、『自立し責任あるクラブ』であり、これらの実現に、社会正義に反する行為は不要です。

 今の浦和レッズに必要なことは、これらの『当たり前』とクラブスタッフ一人一人が本気で向き合い、その姿勢を行動に移す事だと考えております。

 クラブ理念の中に、浦和レッズが大切にする価値観として『革新と伝統』という言葉を謳っておりますが、それを実践すべき時がまさに今であり、これまで積み重ねてきた浦和レッズの歴史や文化を尊重しつつ、浦和レッズの本質を社会に提供し続けるため、他者からの意見に耳を傾け、ファン・サポーターのみなさまとの対話を重視する姿勢、社会の一員としての視点を大切にしながら、変わることを恐れない姿勢を強い覚悟と共に示してまいります」

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