巨人はクライマックスシリーズ(CS)進出へ20日から絶対に負けられない阪神2連戦(甲子園)に臨む。先発は初戦が山崎伊織投手(24)、第2戦は赤星優志投手(24)の若武者2人に託された。14日に18年ぶりのリーグVを決めた宿敵の姿に「優勝したいと思った」と声をそろえた2人。逆転CSからの日本一という夢を思い描きながら、まずはレギュラーシーズン最後の伝統の一戦で必勝を期す。
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熱い思いが沸々と湧いていた。14日の阪神戦(甲子園)で敗れ、チームの目の前で胴上げが行われた。テレビでその様子を見届けた山崎伊は「ビールかけ楽しそうやし、優勝したいと思いました」と振り返る。敗戦投手となりベンチから胴上げの瞬間を目に焼き付けた赤星も「すごいなって、優勝したいなって思いました」。屈辱を胸に刻み、まずは虎へリベンジする。
現在、3位・DeNAとのゲーム差は2・5。24日からの直接対決3連戦(横浜)を前に、阪神2連戦を落とせば、CS出場はより一層厳しさを増す。DeNAは17、18日と敵地で阪神に連勝して勢いに乗るだけに、なおさらだ。まさに背水の陣。絶対に落とせない戦いの先発は20日が山崎伊、21日が赤星に任された。「この2つ負けてしまうと、CSも厳しくなってくると思うので、まず自分ができるのは勝てるように頑張って投げることなので、そこを頑張りたい」と山崎伊。残り10試合。原監督が18日の試合後に「負けん気を出して立ち向かうことが大事だと思います」と話していたように一戦必勝で臨む。
5度目の正直で初の2ケタ勝利をつかみとる。山崎伊は前回12日の同戦(甲子園)では試合途中に胸の位置に構えていたグラブを腰まで下ろすなどフォームを変えて投球。「後ろに倒れ気味だったので、しっかり真っすぐ立つことを意識して」と修正し、8回1失点。援護に恵まれず、プロ初の完投も自身初10勝を前に4度目の足踏みとなったが好投が光った。赤星は14日の同戦で5敗目を喫したものの、6回3失点のクオリティースタート(QS=6回以上自責3以下)と状態は悪くない。この日、G球場でキャッチボールなどで調整した2人は前回登板同様、自らの力を信じて腕を振る。
チームは現在、2戦連続サヨナラ勝利とムードは最高潮だ。今季は甲子園で2勝9敗、対阪神は5勝17敗1分け。同一カードシーズン17敗は球団ワーストタイと歴史的惨敗だが、全ての悔しさをこの2戦にぶつける。「投手陣が粘って、野手の方が打ってくださってサヨナラ勝ちで良い流れがきている。しっかりそれに乗っていけるように」と山崎伊。自らの好投で逆転CSへの道を切り開く。(水上 智恵)
◆山崎伊と赤星の前回登板
▽9月12日(甲子園)阪神1―0巨人 先発・山崎伊は2回1死一、三塁から木浪の犠飛で先制を許すも3回から8回まで一人の走者も出さず18人連続アウトの快投。8回3安打1失点でプロ初完投も、打線が西勇に完封されV逸決定。
▽9月14日(甲子園)阪神4―3巨人 先発・赤星は5回まで無失点と好投したが、6回に大山の先制犠飛と佐藤輝の2ランで3失点して6回3失点。味方打線が終盤に反撃も及ばず、阪神が優勝を決め、目の前で胴上げを見せられた。