◆明治安田生命J1リーグ第27節 横浜FC1―2柏(17日・ニッパツ三ツ沢球技場)
17位・横浜FCはホームで16位・柏に敗れ、勝ち点22のままとなった。最下位・湘南との勝ち点差は1。次節はアウェーで新潟と対戦する。
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港町の丘の上・三ツ沢には時折、強い風が吹く。アウェー側からホーム側へ。またもホームで、風を味方に付けられなかった。今季は札幌戦でも強風が勝敗を分けている。四方田修平監督(50)は「風がかなり強かった影響もあり、押し込まれたり、なかなか陣地を挽回できなかった」と前半のポイントの1つを振り返った。
前半風上の柏は、効果的にロングボールを縦に入れてきた。同時に圧力をかけ、横浜FCの守備ラインは下がった。出足もよく、押し込まれる展開が続く。得意の守ってからのカウンターを狙うも、しっかり対策されていた。ピッチ内で起きていたことを1トップの伊藤翔は説明する。
「前半はシンプルに、向こうの方が良かったですね。こっちは動けていなかったし。ラインが低いな、というのは懸念はしていたんですけど、後ろのほうはこのライン設定で行けるという話だったんで。前からあまり行かずに下がってやったんですけど、その結果、シュートを打たれてPKになっちゃったというので。もう5m、10mは前じゃないと、ああいうことは起こりうると思いますけどね」
前半33分の失点は、柏FWマテウスサビオがペナルティーエリア外から積極的に放ったシュートが、右シャドーのMF小川慶治朗の手に当たったもの。運がない、事故のようなものでもあるが、防げたものという見方もできる。伊藤は続ける。
「ンドカ選手と岩武選手に『このラインの設定はどう?低くない?』と言っていたんですけれど『これで今のところ大丈夫』という話だったんで。PKはアンラッキーなところがあり、あそこ(PK)まで起きるとは思っていないですけれど、事故的なことはラインが低いと起きてしまうんじゃないかな。そこは話したんですけれど『いける』ということなので『いこう』となりました」
ピッチ内では選手同士で積極的に意見を交わし、統一した狙いで試合を進めようとした。結果的に、事故のような痛すぎる2失点を喫した。結果が全てだが、今回の経験を残り7試合で生かすしかない。
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後半には押し込む展開に持ち込み、1点を返した。チームには反撃できる自信は付いている。最低でも引き分けに持ち込みたい最終盤、再びピッチ内での意思疎通が重要な場面が出てきた。パワープレーでのターゲットが、中に少なかったことだ。途中投入のMF三田啓貴は後悔を口にする。
「個人的には『ロスタイムになったら(CBのマテウスモラエスが)上がって欲しい』という指示をタケ(岩武)とボニ(ンドカ)には伝えていたんですけど、それがうまく伝わっていなかったみたいで。中を見て(クロスを)入れようとしても、真ん中にマルセロがいるだけで。放り込む時は、ファーに放り込みたいんで。そこでもっと早く僕が指示して、マテウスに『上がれ』って言ってもよかったんじゃないかなと思います」
最後には中に放り込むことも出来ず、柏の死力を振り絞った圧力でボールを後ろにせざるを得ない展開となり、笛が吹かれた。
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試合後には「前半のような戦い方をしていたら、残留できない」と選手同士で話し合ったという。チームはバラバラになっていない。試行錯誤の中で、最後まで戦っている。昨季J2・2位での昇格、J1では通算まだ4季目。過去も残留争いを勝ち抜いた経験がない。残留できれば、選手たちはクラブの新しい歴史を作ることができる。自分のために、エンブレムのために、残り7試合の奮起に期待したい。