寺地拳四朗、「半歩詰める」“秘策”で4戦連続KO防衛「次は3団体目の王座を狙う」

スポーツ報知
9回、ブドラーにラッシュをかけてTKO勝利の寺地拳四朗(カメラ・今成 良輔)

◆プロボクシング▽WBA、WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦 統一王者・寺地拳四朗(9回TKO)WBA4位、WBC1位ヘッキー・ブドラー(18日、有明アリーナ)

 WBA、WBC世界ライトフライ級統一王者の寺地拳四朗(31)=BMB=が、元2階級制覇のヘッキー・ブドラー(35)=南アフリカ=を9回2分19秒、TKOで退け、2本のベルトを4戦連続KO勝ちで守った。戦績は拳四朗が22勝(14KO)1敗。

 くせ者を連打で黙らせた。9回、右強打で腰を落とした元世界2階級制覇ブドラーに拳四朗がパンチを集中。レフェリーは危険を察して試合を止めた。世界戦13勝目。長谷川穂積、山中慎介と並ぶ歴代4位だ。

 「ダメージを与えられず。判定は嫌だった。倒さないと帰れない」。5回に偶然のバッティングで右目上を切っても、前に出続けた。試合に向けて150回以上の実戦練習を重ねたが、指導を受ける三迫ジムの加藤健太チーフトレーナーと編み出した“秘策”が「半歩距離を詰めること」だった。

 「攻撃力を上げるためではない。半歩踏み出すことで相手の動きを潰せる。相手の踏み込む余地を奪うんです。攻撃を受けてもバックステップで素早くかわせる」と加藤氏。21年9月、矢吹正道(緑)に敗れ、WBC王座の連続防衛が8で止まっても、アウトボクシングから接近戦もできる“ハイブリッド”スタイルに変更して王座奪回。さらに今回、強さを追求できた。しぶといブドラーに「左周りから相手を潰そう」と加藤氏が指示。拳四朗が忠実に体現して勝利をつかんだ。

 進化を続ける拳四朗に、三迫ジムも全面協力体制だ。横井龍一トレーナーが言う。「以前は楽しく練習しているという感じだった。技術さえあれば勝てると。でも、敗れた時から、練習中は近づけないオーラが出てきた。負けてから、全てを失ったと思ったようだ。心を打つ練習を見せるようになった。スパーから相手を潰しにいく。アスリートからファイターになった」

 目標は4団体統一。「次は3団体目の王座を狙いたい。みんな、ぜひ声を上げてください」。ファンに呼びかけたケンシロウの“神拳”は目の前の敵を倒し続けるだけだ。(谷口 隆俊)

 ◆寺地 拳四朗(てらじ・けんしろう)1992年1月6日、京都・城陽市生まれ。31歳。関大4年時に国体ライトフライ級優勝。14年8月にプロデビュー。17年5月、WBC世界ライトフライ級王座を獲得し8度防衛。21年9月に王座陥落も昨年3月に王座奪回。父は元東洋太平洋ライトヘビー級王者でBMBジム会長の寺地永(ひさし)氏。身長164.5センチの右ボクサーファイター。

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