◆JERA セ・リーグ 中日8x―7広島=延長11回=(18日・バンテリンドーム)
中日・根尾昂投手(23)はサヨナラ勝利の瞬間、ベンチの最前列で拳を突き上げて喜びを爆発させた。「絶対勝ちたいゲームでした」。一時は6点リードでスイスイと投げていた。だが降板後に継投ミスで同点に追いつかれ、プロ初勝利はお預けとなった。6回2/3を4安打で4失点。それでも自責0。打っても3打数1安打と投打で非凡なところを見せつけた。
2軍で0勝7敗。四球を出しては痛打を浴びるパターンを繰り返していた。結果が出ない中で巡ってきた今季初の1軍マウンド。ここでも初回先頭の秋山に四球を与えた。3万6324人が見つめる大舞台。泥沼にハマってもおかしくない状況で、不思議と冷静だった。「上半身に力が入っている」。甲子園で計3度の全国制覇を経験した勝負度胸。力感の抜けたフォームに微修正して、次打者から10人連続で凡打の山を築かせた。
昨年6月21日に外野手から投手に登録変更。2点リードの4回2死一塁で放った右前打は同7日のロッテ戦(ZOZO)以来、468日ぶりの安打だった。「リーグで1、2位の安打数(155)の打者(岡林)につなぐ」。次打者・岡林の適時打を呼び込んだ。
立浪監督も「きょうの内容なら投手コーチと話して考えたい」と次回登板の可能性を示した。「1軍でチャンスが目の前にあるならつかみたい」と背番号7の先発投手。新しい可能性を秘めた“ネオ根尾”が、竜の未来を照らす。(田中 昌宏)