◆大相撲 ▽秋場所9日目(18日、東京・両国国技館)
負けてアッパレの豪ノ山である。立ち合いは大関・貴景勝と頭と頭で渡り合ったが、突き押しで一気に土俵の外に転がった。真っ向勝負での黒星。いいじゃないか。目先の勝ち星より遙か遠くの成長である。
武隈親方(元大関・豪栄道)のお弟子さんだから変化して勝っても、何の徳も得られないことは理解しているだろう。大関の強い当たり。二の矢、三の矢の突き押しを胸で受ければ、自分の現在地がわかる。稽古場に帰って、大関に当たり勝つにはどうしたらいいのかという指針も立てやすい。豪ノ山は上を目指せる力士。大関に立ち向かって負けた経験は必ず生きる。
古い言葉で言うならばけれん味のない突き押しが武器。このまま伸ばしていってほしい。個人的には麒麟児(元関脇)さんを彷彿(ほうふつ)させてくれてうれしい限り。幕内2場所目の25歳が、大相撲の新しい地図の大きなピースになる可能性は十分にある。(スポーツ報知評論家)