◆大相撲 ▽秋場所8日目(17日、東京・両国国技館)
初土俵から所要2場所で新十両に昇進した東14枚目・大の里(23)=二所ノ関=が、無傷で勝ち越しを決めた。西11枚目・時疾風(27)=時津風=を押し出し。新十両のストレート給金は2016年夏場所の佐藤(現・貴景勝)以来となった。幕内では今場所初の3大関総崩れ。カド番の霧島と貴景勝は3敗に後退し、新大関・豊昇龍は早くも5敗目を喫した。1敗の首位は平幕の高安と熱海富士で変わらず、2敗で関脇・若元春、平幕の豪ノ山ら4人が追う。
力で圧倒した。大の里はもろ手で時疾風の体を一気に起こすと、回り込む相手を逃さず押し出した。「先場所負けている相手。反省を生かせた」と満足げ。審判として土俵下にいた師匠・二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)の目の前で、まず勝ち越しを決めた。
新十両でのストレート給金は16年夏場所の当時佐藤のしこ名だった貴景勝以来だ。「予想以上。幕下と違って15日間あると、集中が途切れない」。毎日取組がある十両の土俵に水が合っている様子だ。快進撃を続けているだけに、さらなる快挙に期待がかかる。新十両での全勝優勝となれば、1932年2月場所で8戦全勝した大浪以来。15日制が定着した49年5月場所以降では初めてとなる。ただ新たな怪物候補は「まずは勝ち越せた。(次の目標は)15日間取り切ること」と冷静に足元を見つめた。
家族そろっての阪神ファンで、14日にリーグ優勝を決めた際にはビールかけの姿に感激したという。今場所中も「ピッチャーがすごい。甲子園からパワーをもらっている」と口にしていた。「これで終わりじゃない。気合を入れて引き締めたい」と先を見据えた。今度は自分が“アレ”を狙いにいく。(山田 豊)
◆大の里 泰輝(おおのさと・だいき)本名・中村泰輝。2000年6月7日、石川・津幡町生まれ。23歳。小1から相撲を始め、新潟・能生中、同・海洋高を経て日体大。1年で学生横綱。3、4年時には2年連続のアマチュア横綱に輝いた。今年の夏場所で幕下10枚目格付け出しで初土俵。得意は突き、押し、右四つ、寄り。192センチ、176キロ。家族は両親と妹。