2023年から千葉県はふぐ処理師に関する条例を改正、それまで受験資格にあった「3年以上ふぐの取り扱いに従事」は不要とした。18歳以上で試験に合格すれば、フグ処理、販売、料理ができることになった。千葉県ふぐ連盟(高橋芳隆会長)では、7日に千葉市地方卸売市場(千葉市)でふぐ処理師試験準備講習会を開催。洋食レストラン経営者やすし職人、食堂経営者、遊漁船関係者、旅館経営者、高校生と多種多彩な人々が参加、船上カメラマンもふぐ処理師を目指し受講した。
第1回合格
マンツーマンでの指導だった。講師の掛布栄治さん(72)は、元阪神の4番打者・掛布雅之さん(68)=本紙評論家=の兄。千葉市内で割烹(かっぽう)料理「みやこ」で腕をふるっている。生徒は千葉・鋸南町の「割烹のぼる」で働く清水多佳子さん(50)。普段は店で接客をしていて、フグをさばくのは初めてだという。「YouTube(動画配信サイト)で予習はしたのですが、包丁の使い方が難しかった」と清水さん。「処理師の免許を取ってフグで町おこしをしたいです」と夢を語った。
千葉県では1975年にふぐの取り扱い等に関する条例を施行。掛布さんは第1回のふぐ免許試験で合格、お店でフグを振る舞ってきた。「皆さんに何とか受かってほしいですね」と大勢のふぐ処理免許挑戦者に期待を込めた。「雅之(弟)に会うのは年に数回ですよ。男の兄弟なんてそんなもんでしょう」と笑顔を見せていた。
参加者の中で手際よくフグを処理していたのは、松戸市の「やはしら すし勘」から参加の浅沼宏孝さん(44)。妻の実家のすし店で腕をふるっている板前だ。学校を卒業後、ホテルのレストランで修業していたが、多忙でふぐ処理免許は取れなかった。「フグは最強の白身ですよ。ここ3年はお店が終わった後、練習していました。3年以上の従事という条件がなくなって満を持しての挑戦です」と浅沼さん。家族で気楽に食べられるフグ料理を目指すという。
東京湾をはじめ茨城や外房、湘南でフグが釣れている。主にショウサイフグが主体だが、トラフグやアカメフグ、コモンフグも交じり各地で好釣果を上げている。フグ専門の乗合船ならば、処理免許を持った船長などがさばいてくれるので安心だ。その上で釣り人が免許を取得すれば、さらに安心安全にフグ釣りができるようになる。
船上カメラマンもふぐ処理師免許を目指している。試験では大きなトラフグをさばき、食べられる部位(皮、身、骨、精巣、ヒレ)と有毒な部位(肝臓、腎臓、眼球、心臓、胆のう、すい臓、胃腸、エラ、卵巣、粘膜)をバットに並べ選抜する。エラの奥に隠れた小さな心臓を1回目は見つけられなかった。高橋会長は「最低20尾は練習してください」という。「習うより慣れろ」かもしれない。本番の試験は10月。それまで練習あるのみだ。
◆関東各地のフグ釣りの状況 ▽外房
9月1日から太東沖や大原沖で解禁になった大原港松栄丸(TEL0470・62・0571)では、12日に1キロ級トラフグを含むショウサイフグ39尾。13日にはショウサイフグ39~56尾と爆釣した。台風13号の通過後、海が穏やかになり好転した。
▽内房
富津南沖は絶好調だ。富津港浜新丸(TEL0439・87・4967)では1日にショウサイフグを中心にコモンフグ、アカメフグが交じり27~56尾、2日に26~67尾、6日に7~57尾と好釣果を連発している。ここでは甘エビを餌とした食わせ釣りで狙っている。水深は10~13メートルと浅いがフグの魚信は繊細。カワハギ釣りのような神経戦が釣り人の人気を集めている。
▽湘南
茅ケ崎沖でもコンスタントに釣れている。茅ケ崎港ちがさき丸(TEL0467・86・1157)では、8月下旬にショウサイフグを6~39尾。トラフグもよく交じるので、油断は大敵だ。
◆めも
千葉県令和5年度ふぐ処理師試験内容
◇学科試験(60分)
・水産食品の衛生に関する知識
・ふぐに関する一般知識
◇実技試験
・種類鑑別(3分間)
ふぐの種類を記載した名札をそれぞれ該当するふぐに添付する方法により、ふぐ5種類について鑑別する。
・除毒等の技術(20分間)
実技用ふぐ1尾、「食べられるもの」のバット1つ、「食べられないもの」のバット1つ、および臓器等の名札12枚を実技台の上に置き、名札はそれぞれ該当する臓器等に添付する。
・受験手数料1万5700円。※令和5年度ふぐ処理師試験の受験願書受け付けは終了