【仙ペン】「投手・北村」より「代走・オレ」

スポーツ報知

◆JERA セ・リーグ 中日1―0巨人(16日・バンテリンドーム)

 まさか事実上のスイープを食らうとは。2014年のCS最終ステージ。ペナントを制覇した巨人は阪神に4連敗し、日本シリーズへの出場を阻まれた。あれから9年。そろそろリベンジしてもいい頃だ。

 それにしても、あの時は腹立たしかった。2位に7差をつける独走。交流戦もソフトバンク(同年の日本一)をかわし優勝を果たしている。なのに、どうして日本シリーズに出られないんだよ。仕方がない。そういうルールなんだから。

 さて、そんな悔しいシーズン。MVPに輝いたのは菅野だった。「最優秀防御率」のタイトルも獲得。順当な受賞だ。ところが、CSと同じくどんでん返しが待っていた。

 「報知巨人取材班」のツイッター(現X)で募集した「読者が選ぶ今季の巨人MVP」。菅野は2位に甘んじてしまったのだ。さて1位は? 我らがスピードスター、鈴木尚広さんでした。得票率32%は断トツの数字。「10勝投手に勝るとも劣らない貢献度」「尚広がいなかったら5勝が5敗になっていた」などなどオンリーワンの輝きに、多くの賛辞が贈られた。

 プロ18年目の36歳。全盛時は過ぎていた。出場機会も徐々に減少。そんな中、球団2人目の10年連続2ケタ盗塁を達成した。いや、それよりもすごいのは代走で40回起用されたうち、実に22回もホームを踏んだことだ。5割を超す生還率。勝負強いにも程がある。

 そんなわけでナイスゲームのち惜敗。今季のルーチンです。残念だったのは7回の攻撃。代走の増田大を大城卓が送って1死二塁とした。でも、どうなんだろう。もし走者が尚広さんだったら。犠打の前に盗塁して1死三塁になっていたかも。そして吉川の内野ゴロの間に…って都合のいい妄想です。

 増田大も重信も走力では尚広さんを上回っているかもしれない。なのに5割以上の確率で本塁へ帰って来るレジェンドと、帰れない2人。その差があるとしたら「ベンチの信頼」と「本人の決断力」なのか。

 「読者のMVP」を尚広さんにさらわれた菅野。そのお返しに一塁コーチャー自ら「代走オレ」って言ってほしかっただろうな。恐らく「投手・北村」より盛り上がったと思う。

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