【番記者の視点】欧州→日本→中国と超ハード移動 浦和・伊藤敦樹が痛感する日本代表選手の宿命

浦和・伊藤敦樹
浦和・伊藤敦樹
トルコ戦の後半、パスを出す日本代表の伊藤敦樹
トルコ戦の後半、パスを出す日本代表の伊藤敦樹

◆明治安田生命J1リーグ▽第27節 浦和0―0京都(15日・埼玉)

 【浦和担当・星野 浩司】 弾丸スケジュールの疲れを抱えながらも、浦和MF伊藤敦樹の存在感は際立っていた。0―0の後半開始からピッチに立ち、テンポ良くパスをさばく。同31分には右サイドを駆け上がって絶妙なクロスを送ったが、FWリンセンのシュートは枠を大きく外れた。45分間プレーし、中盤から前線で攻撃に絡んだが、シュートは0本。2戦連続ドロー後の取材エリアでは、悔しさをにじませた。

 「アシストやゴールと目に見える結果を残してチーム勝利に導きたかったけど、それはできなかった。少し簡単なミスだったり、守備の面でもポジショニングを少しサボってしまったり、個人としては納得はいかないです」

 日本代表の12日・トルコ戦(4〇2、ゲンク)で代表初先発し、左足の強烈ミドルで初ゴール。ベルギーから約20時間の移動を経て、帰国したのは試合前日の14日朝だった。ベルギーからドイツに向かう飛行機が悪天候の影響で欠航。急きょ、車で3~4時間かけて移動したフランクフルトから羽田空港へのフライトで帰ってきた。

 その日は少し休むのかと思いきや、その足で浦和のクラブハウスへ直行。チーム練習に部分合流し、体のケアを行った。さかのぼれば、今月3日に欧州遠征へ出発する前、スコルジャ監督から京都戦に出場する準備をしておくように伝えられていたという。

 帰国後、改めてスコルジャ監督と会話した。

ス「大丈夫か? (京都戦は)いけるか?」

伊「全然問題ないです」

ス「後半頭から、いく準備をしてくれ」

 トルコ戦から中2日で強行出場。ピッチでは疲労を感じさせず、45分間プレーした。だが、試合後には「感じたことない疲れ? 今、今感じてますね(笑い)。体のだるさや、頭の…。試合とは違う疲れを感じます」。今季リーグ全27戦に出場し、プレー時間はチーム4位の2263分。屈指のタフさを誇る伊藤から「疲れ」という言葉を聞くのはほぼ初めてだったように思う。

 練習、試合と強度の高い代表活動、長距離移動の疲労に加えて、時差7時間の時差ぼけ…。帰国した14日は「練習後、気づいたら寝てた。夜も早く寝たけど、寝て起きて寝て起きての繰り返しだった」。コンディション調整の難しさを痛感していた。

 それもこれも、欧州組の選手にとっては当たり前。ポルトガル・リスボンが本拠地のMF守田英正ら、長くて20時間以上かけて日本へ帰国して活動に臨んでいる選手も多い。それも多ければ2、3か月連続になるケースもある。日本代表選手としての宿命とも言えるが、伊藤は「いい経験だった。慣れていかないといけない」と言い切った。

 そして、17日にはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ初戦(20日)のため、中国・武漢へ飛行機で移動する。今回の欧州遠征の招集メンバーで国内組4人のうち、今季のACLを戦うのは伊藤のみ。ベルギー、日本、中国と過酷な移動をしながらパフォーマンスを維持することが要求される。

 「注目もされますし、期待も今以上にされると思う。その中で本当に結果を残し続けて、チームを勝たせられる選手になっていけたらいいなと思う」

 浦和はリーグ、ルヴァン杯、ACL、クラブW杯と、今季はまだ最大で19試合を残す。「本当にタフな日程の中で全部の試合に出るつもりですし、そういう中で成長は必ずできると思う。けがや体調に気をつけて、タフに戦っていきたい」。そう語る伊藤の言葉は、もはや風格すら感じさせた。

浦和・伊藤敦樹
トルコ戦の後半、パスを出す日本代表の伊藤敦樹
すべての写真を見る 2枚

サッカー

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年
×