“南キャン"山崎静代、相方・山里亮太との関係を赤裸々告白…インタビューロングバージョン

スポーツ報知
インタビューに答えた山崎静代(カメラ・荒牧 徹)

 お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山崎静代が、初の自伝的エッセー本「5000グラムで生まれた女のちょっと気ままなお話」(ヨシモトブックス)をこのほど刊行した。芸人以外にも、画家や女優などマルチに活躍する中、山あり谷ありの人生を著書で振り返っている。相方・山里亮太との不和、山里の妻で親友の女優・蒼井優への思い、昨年12月に俳優・佐藤達との新婚生活など、過去・現在・未来を語った。(増田 寛)

 身長182センチの威圧感を感じさせないほど、“新妻・しずちゃん”は幸せオーラを振りまいていた。「自分のスケジュールに夫が加わった感じ。朝ご飯を一緒に食べるために、1時間早く起きようとする自分がいたり。あと、自分が料理を作って、旦那さんの反応を待つときとか緊張しますね。そんな、ノロケとかではないですよ」。そう話しながらも、口元は緩みっぱなしだ。

 幼少期から絵を描くのが好きで、今年5月には初の個展を開いた。作品には夫も登場する。「絵を描いている時が一番リラックスしている状態かも。“南海キャンディーズ・しずちゃん”っていうのは、そんなにオンとオフの差が激しくない。それでも、しずちゃんという意識で舞台は踏む。でも絵はしずちゃんを意識して全く描いてないんですよ。自分が描きたいものを描いている」

 一方で、相方・山里の肖像画は描いたことがない。「山ちゃんと面と向き合って時間使いたくないです」と笑わせるが、「昔は本当にコンビ仲が悪くて、これでも良くなった。今が最高に仲がいいかも」と明かす。

 工藤静香に憧れアイドルを夢見た幼少期だったが、毎日放送系「4時ですよ~だ」(1987~89年)やフジテレビ系「ダウンタウンのごっつええ感じ」(91~97年)を見てお笑いにも興味を持った。

 お笑いへ没入するきっかけになったのは、短大卒業後に「有名だから」と何となく入った「劇団ひまわり」での実技レッスンで人を笑わせることに快感を覚え、コントを本格的に書き始めた。

 中学の同級生を誘ってお笑いコンビ「西中サーキット」を結成。2002年にABCお笑い新人グランプリの審査員特別賞を受賞も、同年に相方から会サインを切り出された。ピンで活動していく中、出会ったのが山里だった。「人当たりが良くて優しそうな人だった。目が節穴でした。でも、私は山ちゃんに懸けると決めていた」。ケーキバイキングで南海キャンディーズ結成を誘われ、快諾した。

 南海キャンディーズは2004年にM―1グランプリで2位になるほど急成長したが、コンビ仲は逆に険悪に。地力が付かずに売れたためバラエティー番組でかみ合わず、雑な山里のフリにストレスがたまった。

 決定打は、05年のM―1決勝で最下位となったこと。「芸人に向いてないのかも」と将来が不安になり、挑戦したのが女優業だったが、それが山崎の世界を広げていく。映画「フラガール」で共演の蒼井と共にフラダンスチームのメンバーを演じ、2007年の日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞した。

 さらに同年、ロバート・山本博がボクシングをやっていたことで興味を持ちジムに通うように。持ち前の運動神経から、12年ロンドン五輪出場を目指すまでになった。

 「ボクシングは本当に私の中で大きかった。これだけこんなに頑張ったって言えるものが一つできたということで、自分自身に自信がついた。お笑いを頑張ってやってきてたけど、ぬるかったなって。すごいしんどい所に置かれて、もがいてなかった。そういう経験をしたことによって芸能界にまた戻らせてもらえた」

 格闘家と芸人としての自分は全く違うという。

 「ボクシングは、自分を変えないといけなかった。相手に殴りかかっていかないといけない。闘争心なんてないような人間じゃダメだった。スイッチの切り替えは結構難しかったんですけど、でも徐々になんとか試合に向けて持っていけるようになった。体とか気持ちとか準備の仕方が徐々に分かった」

 お笑いから“逃げる”ためだったボクシングの試合に臨むメンタルは、芸能活動にも生きている。「『試合から逆算して日々、勝つための行動をとっているか』と教わった。お笑いを含めて色々なことへのアプローチの仕方が変わった」。ボクシングを経験したことで、山里の笑いへのストイックさも理解できたという。

 「山ちゃんの私の活躍への嫉妬は本当にすごかった」と笑うが、2010年のボクサー転身から15年の芸人復帰までの間、コンビの居場所を守っていたのは相方・山里だった。ラジオやテレビ番組で話術や毒舌を磨き、表舞台に出続けたことで、「南海キャンディーズ」の名前は人々の記憶からは消えなかった。「本当にそこは感謝です。私がスッと芸人に復帰できたのは山ちゃんのおかげ」

 コンビ仲は徐々に回復。その象徴が、2019年に山里と親友の蒼井が結婚したことだ。キューピッドは山崎。親友の蒼井は「3人目の南海キャンディーズで、コンビの頭脳」と話す。

 「うまく仲を取り持ってくれる。大きな存在です。去年の頭ぐらいに優ちゃんが『(山ちゃんが)しずちゃんのネタ、待ってるよ』と言ってたんです。山ちゃんは私にそんなこと直接言ってこなかった。そこをつないでくれるのが優ちゃん」

 今回の著書を相方夫婦は読んだのか―。「読んだと思うけど、2人にまだ感想はもらってない。あまりにも赤裸々に相方への憎しみを書いたから、コンビ仲がまた悪くなるかも」

 コンビ結成から20周年を迎えた。お互いにマルチな活躍をするが、「劇場に立って何歳になってもやりたい」と、あくまでも軸は漫才だという。今年5月に開催された結成16年以上の漫才師による大会「THE SECOND~漫才トーナメント~」にも触発されている。

 「山ちゃんと参加するとかは話さなかった」と明かすが、賞レースへの思いはあふれる。「あの舞台に立ちたい。漫才師としてそう思いました。賞レースは負けがある。負けるかもしれないところに行って、勝ちを取りに行くのは格好いい」。輝く目は完全にファイターだった。

 ◆山崎 静代(やまざき・しずよ)1979年2月4日、京都・福知山市生まれ。44歳。通称しずちゃん。2003年6月に山里亮太と「南海キャンディーズ」結成。ボケ担当。06年に映画「フラガール」で本格的に女優デビューし、07年に同作で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。同年からボクシングジムに通い始め、09年にC級ライセンス取得。15年にボクサーを引退。20年に日本ボクシング連盟女子強化委員・普及委員に就任。182センチ。

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