軽い気持ちが「はまった」キックボクサーとして新しい道を歩み始めた元高校球児…記者コラム

スポーツ報知

 知人の息子が、日大三の野球部を卒業している。甲子園出場時(2012、13年)、ベンチ入りこそかなわなかったが、投手兼外野手として、3年間の高校野球生活を全うした。中学時代は名門といわれる青山リトルシニアに所属、桑田真澄投手に指導を受けたこともある。大学も明星大に進学し、巨人・松原の2年後輩のチームメートだった。

 十分に自慢できる球歴で、今も野球に大いに興味を持っているものだと、野球一筋で取材をしてきた記者は思うのだが、本人はそうでもないらしい。さすがに春のWBCは注目したが、プロ野球はあまり見ないし、この夏の母校の甲子園の戦いも、ほとんど見なかった。

 「どうしてでしょうね。何か嫌なことがあったというわけでもないんですけど…。青山の練習がすごくきつかったから、三高はそれほどじゃなかった。大学はもう天国。野球をやっていると、スムーズに人生が進みはしたんですが、もういいかなって」。日大三卒業時に小倉元監督から贈られた記念のバットも、実家の押し入れに、ひっそりとしまわれている。

 177センチ、73キロという体と運動能力を生かし、消防士になった。ただ、これも事情があって2年で辞めた。ただ、アスリートとしての本能は、消えなかった。大学入学までの時間に軽い気持ちでキックボクシングを始め、退職後のモヤモヤした思いを晴らそうと再開したら「はまった」。

 アマチュアとして、3戦した後、所属ジムの勧めもあって8月18日、ついに「SHOGO」(ウェルター級=67・5キロ)としてプロデビューを果たした。結果は惜しくも敗れたが、次戦に向かって牙を研いでいる。小松崎翔吾、27歳。これからも楽しみなファイターだ。(遊軍・湯浅 佳典)

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