嵐の松本潤が江戸幕府初代将軍の徳川家康を演じるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜・後8時)の第35回「欲望の怪物」(17日放送)で、家康が豊臣秀吉(ムロツヨシ)に頭を下げるために上京する。
武士なのに貴族の最高位・関白にまでなった秀吉にとって、一番の懸案は自分より強い家康に頭を下げさせること。妹の旭(山田真歩)を離婚させて家康の正室にと送り、ついには母の仲(高畑淳子)まで人質として家康のもとへ送る。世間体にこだわる風潮も時代を感じさせるものの、なりふり構わない秀吉の人間性にも驚かされる。
また、豊臣家臣の石田三成(中村七之助)も初登場し、家康と出会う。関ヶ原の戦いで激突する両雄。演じる松本と七之助は高校の同級生で親友同士だというのも興味深い。
前週がラグビーのW杯で休みだったため、その前週の第34回「豊臣の花嫁」(3日放送)では、重臣・石川数正(松重豊)が裏切った理由が描かれた。於愛の方(広瀬アリス)が数正の残していった築山の花を発見。築山に住んでいた瀬名(有村架純)は「戦のない世」を目指しており、数正も家康に戦争をさせないために重臣の自分が去った、という解釈だ。
数正が裏切った理由は明確には分かっておらず、番組関係者も「脚本の古沢(良太)さんによるオリジナルです」と明かす。それでもSNSでは「男とはこうありたい」「始まって初。涙が出ました」と同調する声が相次いでいる。
隠れた好演も。家康に嫁いだ旭が、奔放な明るいキャラで通していながらも、内心は前夫が行方不明になっており心配する。人目につかず号泣する場面も。そんな心を家康がくみ取るシーンもあり、ネットでは「涙が止まらんかった」「素晴らしい演技」ともらい泣くツイートが続いた。
第34回の平均世帯視聴率は11・7%でアップ。ライバルのテレビ朝日系「ポツンと一軒家」の13・7%に次ぐ数字だった。秀吉が頂点になり、これまで抑えられていた性格がだんだんとにじみ出てくる。ムロツヨシが演じるサイコパス感の加速ぶりが楽しみだ。
(NHK担当・浦本将樹)
※視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区