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「第54回報知キス釣り選手権 SESSYA CUP」決勝大会・名人戦 田島雅倫選手が最年少新名人に…鳥取・弓ヶ浜

新名人の座を獲得した田島選手
新名人の座を獲得した田島選手
仲間から祝福の胴上げを受ける田島選手
仲間から祝福の胴上げを受ける田島選手
キス4連掛けで一時は3尾差まで詰め寄った大野前名人
キス4連掛けで一時は3尾差まで詰め寄った大野前名人
第54回報知キス釣り選手権 SESSYA CUP」優勝の田島選手を中央に2位・穴田選手(左)と3位・香林選手
第54回報知キス釣り選手権 SESSYA CUP」優勝の田島選手を中央に2位・穴田選手(左)と3位・香林選手

 【主催】報知新聞社

 【後援】全日本サーフキャスティング連盟

 【協賛】(株)SESSYA

 【協力】(株)サンライン、(株)ささめ針、キリンビバレッジ(株)、東邦産業(株)、(有)越河金属、(株)インタープロス、(株)エスジーズ、蔵元 稲田本店、(株)いけがみ、(有)米子報知機、(有)多林製作所

 「第54回報知キス釣り選手権 SESSYA CUP」決勝大会は10日、鳥取・弓ケ浜で開催された。鳥取、徳島、愛知の各予選を勝ち上がった選手や前回大会上位のシード選手、主催者推薦選手、歴代名人・選手権者ら62人が参加。選手権は田島雅倫(あーろん)選手=京都市=が制し、続く名人戦でも大野正浩第53期報知キス釣り名人(45)=かほく市・北陸アカシアサーフ、石川鱚酔会=を破り、一気に名人位まで上り詰めた。

 試合終了と同時に駆け寄った仲間からいち早く勝利を告げられると、はにかんだような笑みがこぼれた。史上最年少、現役京都大学生名人が産声を上げた瞬間だ。長く受け継がれてきた名人杯を抱き「自分自身がこのレベルに達していない。正直に言って荷が重い」と戸惑いの表情を浮かべながらも、「これまでの名人と同じように、投げ釣りの発展に貢献していきたい」と続け、歴代から続く志の継承を誓った。

 弱冠21歳で名人位獲得の快挙も、驚くには当たらない。数々のトーナメントで好成績を残し、実績を積んでいる田島選手。「負けると死ぬほど悔しい」と、その気持ちを原動力に成長を遂げ、投げ釣り界ではその存在は知られていた。

 選手権決勝では、フルキャストして開始30分で8尾をキープした。その後、移動を繰り返すと5色辺りでキスがいるゾーンを発見。掛かる魚が小さいと見ると細仕掛けに変更し、数を伸ばし、決着をつけた。

 名人戦は大篠津町交差点前の浜。左側にある川を中心に左右40メートルずつが決戦のエリアだ。向かい風とウネリが増し、波口にはゴミが点在していた。開始は午後2時。1時間で場所を交代する。

 右のエリアに入った田島選手。まずは、選手権での10本から7本にハリ数を減らし、強風対策を整えた。そして挑戦者は仕掛けた。飛距離の確認と動揺を誘うため、エリアセンター旗のすぐ左に陣取った大野名人にピタリと寄り添うように、横並びに釣り座を構え、第1投を待った。その理由を「少しでも自分の流れにするために何かしないと、と思った。近づくことでプレッシャーを感じてくれたら。本当は自分がビクビクでした」と苦笑いした。前半戦は7色の遠投から5色半~4色でアタリがあり、2連、3連と釣り上げ、6尾リードで折り返した。

 後半戦は更にハリ数を減らし4本に。加えてテンビンのアームも短くした。狙うは大野名人が釣っていたポイントのまだその沖だ。「5色半で反応があり、その魚を徹底的に狙った」と一時は3尾差まで詰め寄られたが、ラスト30分で連掛けを連発。大野名人を突き放し、7尾差でのフィニッシュだ。初の栄冠を手に入れ、「同じ距離での勝負だったら勝てる自信がなかった。今までで一番釣りに集中した試合だった」と振り返った。

 キス釣り歴は7年。フランス人の父を持ち、「魚の研究がしたい」と理学部で動物行動学を学んでいる大学3年生だ。「勉強もあるし、来年はどこまで釣りができるか分からない」と打ち明けた21歳。それでも進化は止まらない。新しい歴史の幕が上がった。

(大塚 真哉)

 敗れた悔しさ、やりきった充実感、重圧から解放された安堵感…。大野前名人の胸中に、様々な思いが交差した。「若手が上がってきたときに陥落するのかなとは思っていた。やれることは全部やった。悔いはない」。厳しい表情のまま2時間の熱闘を振り返った。

 勝利へのシナリオが、少しずつ狂った。前半はジャンケンで勝ち、「離岸流が出ていた」左のエリアを選択。1投目からキスのアタリを拾ったが、「外道が掛かって仕掛けを振られてキスが外れた」。出ばなをくじかれ、序盤から相手にリードを許す展開に陥った。

 また、開始1時間ほど前から海が荒れた影響か、下見で確認していた3色付近のキスが減少。「3色から3色半の距離で、居るはずの魚を集中的に狙った。その1色先に魚が居ることを見つけるのが遅かった」。得意の多点バリ(13~15本)仕掛けにこだわり後半は盛り返したが、その差を縮めきれなかった。

 名人在位5期は、小川保生さん(16~22、28~31期)の通算11期に次ぐ史上2位タイの長さ。ビッグタイトルを手にしてからの7年間に思いをはせ、「本当にいい景色を見させてもらった。いろいろな人にフォローをしていただいて…」と声を詰まらせた。その小川さん以来となる史上2人目の名人返り咲きが、新たな目標だ。「挑戦者としてもう一度、狙う」。前名人の眼光に再び鋭さが宿った。(竜)

 野村道雄・競技委員長 「弓ケ浜で7色投げないと釣れないという状況を初めて経験した。ほんとうに珍しい。そこを無駄なく超遠投で釣果を挙げた田島さんは立派だった。名人戦では3試合も遠投を続け、疲れていただろう田島さんが最後の力を振り絞って名人位を獲得した。大野さんは長年の防衛でいろんなプレッシャーがあったと思う。ぜひ、またこの舞台に戻って来てほしい。素晴らしい試合だった」

 【1回戦】曇りで無風。境港市・美保湾展望台の本部前を境界に、海に向かって左側の川手前までをAブロック、川を挟んでボード小屋までをBブロックとして、それぞれ約300メートルのエリアを設置した。午前7時から2時間行い、8位タイまでが決勝に進出する。試合は全て2時間制。抽選で両ブロックに31人ずつが入った。4色(1色は25メートル)以内ではキスの食いは渋く、6~7色の遠投力が求められた。Aブロックでは、穴田選手がエリア左端で7色の大遠投。4連などを含めて17尾で通過した。他に15尾を釣った昨年2位の木谷選手ら10選手が勝ち進んだ。Bブロックも、やはり6~7色の遠投が中心。須田選手は右端から30メートルほどの場所を釣り場に、じっくり攻めて最高釣果の19尾。16尾の榛村選手ら8人が決勝へ駒を進めた。

 【決勝戦】午前10時にスタート。本部前の川を境界に、右側の砂山手前までの500メートルをエリアに午前9時に開始した。エリア左端で田島選手が1投目に7色を投げて4連。同様に2、3連と釣り上げた選手も見られた。穴田選手も遠投で順調に数を伸ばし、香林選手は40分で10尾超の釣果を挙げていた。しかし、次第に向かい風が強まり、狙ったポイントまで届かない。いかに手前にキスを仕留めるかで選手たちは頭を悩ませた。最終的には序盤で釣果を伸ばした選手が上位を占めた。

 2位・穴田博也選手 「結果は残念だが、よく頑張ったほうかな。次回は巻き返したい」

 3位・香林和幸選手 「有名な選手と戦えてうれしかったし、3位にも満足している」

新名人の座を獲得した田島選手
仲間から祝福の胴上げを受ける田島選手
キス4連掛けで一時は3尾差まで詰め寄った大野前名人
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