【こちら日高支局です・古谷剛彦】4年ぶり現地観戦のコリアカップデーで感じた日本馬の強さ、主催者へのもどかしさ

スポーツ報知
コリアカップはクラウンプライドの独壇場だった(写真提供・森内智也氏)

 ソウル競馬場で10日に行われたコリアカップとコリアスプリントを観戦した。コロナ禍で20年と21年は中止。昨年は札幌の最終週と重なったことで渡韓を断念したので、4年ぶりのコリアカップデーだった。5月に、コリアスプリントにつながる短距離戦・SBSスポーツスプリントを観戦しに来たので、今年は2度目。やはり、ビッグレースとなると、場内の雰囲気は全く違う。4年前と変わったなぁと感じたのは、大型ビジョンに来場したファンを積極的に映したり、特別や重賞では本馬場入場の時、手拍子をうながすアニメーションが出て拍手で出走馬を迎えるようになったこと。まさに、プロ野球のバックスクリーンを彷彿(ほうふつ)とさせる、場内の一体感を生み出す画策を展開していた。

 レース結果はご承知の通り、日本馬の強さが際立った。レース前から日本馬の独壇場が想定され、たくさんある専門紙を見ても、どちらのレースも日本馬2頭に◎○がつく状況。スプリントこそ地元馬が意地を見せたが、日本馬同士の馬連のオッズはどちらも1倍台。コリアカップの配当は、馬連が1・7倍、馬単が1・9倍だった。コリアスプリントはリメイク(牡4歳、栗東・新谷功一厩舎)が、2着に逃げ粘ったポルマエスター(牡4歳、釜山・ペククァンヨル厩舎)に対し、余力ある走りで4馬身差の完勝。勝ち時計の1分10秒0は、レースレコードだった。前走のクラスターCでも33秒5という芝並みの時計を叩き出したが、乾いたソウルの馬場でリメイクがマークした上がり3ハロンは34秒3。レースの上がり3ハロンより0秒9速く、驚異の内容だった。3着バスラットレオン(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)は、意外とダッシュがつかず、ポルマエスターにハナを叩かれた後に外へ切り替えようとした時に3角で狭くなるシーンがあるなど、厳しいレースを強いられて3着に敗れた。リメイクは、JBCスプリント出走に向けて、大きな賞金加算となった。

 コリアカップは、クラウンプライド(牡4歳、栗東・新谷功一厩舎)がすんなり2番手に取りつき、向こう正面半ばで押し出されるように先頭に立つと、その後は独壇場だった。2着グロリアムンディ(牡5歳、栗東・大久保龍志厩舎)に10馬身、昨年の覇者であるウィナーズマン(牡5歳、釜山・チェギホン)は、さらに5馬身遅れた3着だった。前半3ハロン38秒4-5ハロン62秒6のスローで流れ、後半3ハロンのラップは12秒8-11秒7-12秒3=36秒8を、クラウンプライドはほぼ馬なりでマークした。秋の最大目標とみられるチャンピオンズCに向け、弾みのつく重賞制覇だった。

 コリアカップ創設の16年に、韓国はパート2に昇格。昨年は2レースとも国際G3となり、レースの格をさらに高めたい意向を感じる今年の遠征馬選定だった。大差がつくと、レースレーティングが低くなる可能性もあるので、さらなるグレードの格上げはまだ時間を要すと思うが、コリアスプリントに関しては、アメリカ血統が主流の韓国で、番組も短距離戦が充実していることもあり、ポルマエスターの他に、昨年の優勝馬であるオマオマも5着に食い込むなど、地元勢は健闘した。

 ただ、国際競走を行う主催者としては、人手と経験不足が露呈した形で不手際が少なくなかった。16年コリアカップ観戦時の当コラムを読み直してみたが、当時の将来展望で現実となったのは、2レースの国際グレード化ぐらいしか見つからない。質の高い種牡馬や繁殖牝馬は導入し、育成施設も充実してきたのは確かだ。しかし、主催者がコロナ禍で色々と体制が変わってしまい、上手く引き継ぎができていない様子を今年のコリアカップで痛感した。初めてライブ観戦した海外の競馬が韓国なので、個人的に思い入れは強い。そのなかで、国際競走を行う主催者の体制が、進歩どころか後退している状況では、厩舎や騎手たちのモチベーションは下がってしまう。中止期間はあったにせよ、創設してから7年がたっている主催者とは、正直思えない場面が多々あったことは残念でならない。

 コリアカップのパドックを一般エリアで観ていた時、隣に座っていた若い男性2人に「日本から来られたんですか? やはり、クラウンプライドは強いですか?」と日本語で声を掛けられた。個人的な見解を述べた後、その男性たちは「私たちは日本の競馬が大好きです」と話し、日本ダービーや札幌記念を現地観戦したと言う。1人の男性はドウデュースのファンで、天皇賞・秋の話題に広がったりもした。韓国はギャンブルという側面で競馬を観ている人が大多数と言われる一方で、パドックで声を掛けてくれたファンのように、スポーツとして競馬を楽しむ人たちも増えている。冒頭に書いたように、主催者の取り組みで、家族やカップルが来場しやすい雰囲気づくりを行っている点は素晴らしいと感じている。日本の競馬も、イメージアップ戦略が奏功したのはジャパンC創設から10年近くはかかっている。その点でも、韓国の競馬は発展途上であり、伸びていく要素は多分にある。だからこそ、今年の対応に危機感を抱いたうえで、来年のコリアカップは素晴らしいものに発展してほしい。(競馬ライター)

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