囲碁の最年少タイトル保持者の中学生棋士・仲邑菫女流棋聖(14)が活動拠点を韓国に移す意向であると、日本棋院が11日、発表した。韓国棋院に現地でのプロ試験を受ける必要のない「客員棋士」として登録を申請しており、年末から年明けにかけて承認されれば来年3月にも韓国に移籍する。
10歳0か月の史上最年少棋士として鮮烈なデビューを果たしてから4年5か月。“天才少女・菫ちゃん”が世界最強ともいわれている囲碁大国の韓国に羽ばたく。日本棋院によると、日本人棋士が海外に移籍し、プロとして活動するのは初めて。仲邑はプロ入り前に腕を磨くため韓国へ留学していた経験もあり「よりレベルの高い環境で棋力向上を目指したい」と決断したという。
来年1月開幕予定の女流棋聖の防衛戦は出場する見込み。タイトル戦が終わる24年2月末までは日本で対局するが、その後は原則、日本国内棋戦には出場できなくなる。女流棋聖を防衛した場合は同年3月1日に行われる就位式後にタイトルを返上するという。
日本棋院が世界の2強を形成する韓国、中国に対抗するため新設した「英才特別採用推薦棋士」第1号としてプロ入りした仲邑の移籍による損失は計り知れない。それでも、同棋院の小林覚理事長は「仲邑菫女流棋聖のチャレンジを積極的に応援します」とコメント。国際棋戦では、スポンサーの意向などにより、大会ごとに代表選考規定が定められるため、今後、韓国代表、日本代表どちらにもなる可能性があるという。(瀬戸 花音)