9月に入ったとはいえ、まだ暑い。こんな時は安・近・短でハゼと遊んでみてはいかがだろう。手軽に狙えるハゼは、東京都内でも釣れる場所は多い。今回は下町エリアに絞って墨田区の北十間川、中央区の佃堀、江戸川区の新左近川親水公園の3か所を紹介する。いずれの釣り場もベテランはもちろん初心者、親子連れも楽しめる場所だ。
北十間川は墨田区を東西に流れ、旧中川と隅田川をつなぐ全長約3・2キロの運河。ハゼはほぼ全域で釣れるが、オススメの釣り場は京成線、東京メトロ半蔵門線、都営浅草線、東武線の押上駅を出てすぐの東京スカイツリー周辺。ここは運河の両サイドに遊歩道が整備されていて足場がとてもいい。遊歩道の脇にはベンチがあり、防護柵もしっかりしていて初心者や家族連れにはもってこいの釣り場だ。この運河は海と直結していないので、潮の満ち引きに大きな影響を受けないのも特徴だ。
水深は2メートルほどなので、竿は3メートル前後の延べ竿が向くが、橋の下で狙う場合は1・8メートルと短めがいい。釣り方はウキ釣り、シモリ釣り、ミャク釣りのいずれでもOK。運河の水門が開くと、一時的に流れが速くなるので、2~3号のオモリと小型片天びんを用意しておくと安心だ。ただし、投げ釣りは禁止になっている。
スカイツリーの真下で釣ってみた。仕掛けを入れると、すぐにプルプルと竿先アタリは出るものの、なかなかハリ掛かりしない。青イソメ餌を小さく付けたり、ハリのサイズを落としたりして工夫していると、なんとかハリ掛かりに成功。上がったのは3センチほどの小型ハゼだった。
10センチ級 周りの人が釣るハゼも軒並み3~4センチ級なのだが、「北十間川に通って3年」という地元の釣り人から「デカいハゼはいるよ。探してごらん」とアドバイスをもらい、釣り歩きながら広範囲に探ってみた。すると、ミャク釣り仕掛けにググンというアタリ。小さく合わせると小気味いい引きが手元に伝わってくる。竿を立てると10センチ近いハゼが上がってきた。ここに通っている人によると、半日で20~30尾は釣れるとのことで、数釣りも楽しめそうだ。
釣り場の近くにはコンビニエンスストアもあり利便性は抜群。また、スカイツリー周辺ということで、有名観光スポットも数多い。釣りに飽きたらちょっと観光というのもいい。グルメや観光とセットで行ってみても面白いだろう。
(高田 典孝)
◆オススメ釣り場・佃堀
つくだ煮で有名な中央区佃にあり、佃川支川(つくだがわしせん)の行き止まり部分の堀。ハゼをはじめ、手長エビやボラなどが生息している。堀の一番奥は佃公園として整備され、しっかりとした手すりがあるので、子ども連れでも安心。トイレもある。
手すり越しに釣るので、竿は2・7メートルのものが向く。水面までは距離があるので、短い竿ではやりにくい。釣り方はウキ釣りかシモリ釣りがオススメ。公園付近は干潮の時間帯にかなり浅くなってしまうので、満潮の前後が狙い。まだ小型が目立つが、これから秋が深まればサイズは良くなってくる。なお、佃小橋から釣ることは禁止になっている。近くにはもんじゃ焼きで有名な月島もあり、グルメを兼ねての釣行も楽しい。東京メトロ有楽町線、都営大江戸線月島駅から徒歩5分。
▽新左近川親水公園
荒川河口近くにある公園。ハゼのほか手長エビ、スズキなども釣れる。ここも危険と思われる場所には手すりがあるが、ゴロタ石から竿を出すこともあるので注意が必要だ。
竿は2・7メートルが基本だが、ハゼはまだ岸寄りの浅場にいるので、1・8メートルでもいい。日中の暑い時間帯は中左近橋下がオススメ。日陰で比較的涼しい上に、ハゼが好みそうな障害物も多い。一番近い駅は東京メトロ東西線西葛西駅になるが、歩くと20分以上かかる。公園近くにコインパーキングはある。
ハゼ釣り用の竿は釣り場によって長さは変わるものの、1・8~3・6メートルの延べ竿がいい。遠くへ投げることはないのでリール竿は必要ない。仕掛けも市販のものを使おう。道糸からオモリ、ハリス、ハリまでがセットになっているので、釣り場で簡単に付けられる。仕掛けは、球体もしくは棒状の小型ウキが付いているウキ釣り、小型の中通しウキが3~4個連なるシモリ釣り、ウキがないミャク釣りの3種類がある。ウキ釣りは、ハゼが釣れるとウキがピクピク動き、見た目にもアタリがすぐ分かる。シモリ釣りはハゼが餌をくわえると、ウキが徐々に沈んでいく。ミャク釣りはハゼのアタリが直接手に伝わってくるので面白い。
餌は青イソメ、ジャリメなど。2~3センチほどに切って、切り口からハリ先を入れ、ハリ軸に真っすぐ付けることが大切。タラシは1センチほど。長くすると食い逃げされる。人工餌やベビーホタテを使ってもいい。
まず狙いたいのは、石などの障害物の間に砂地が広がる場所だ。ハゼはおおむね、上げ潮の時間帯に食いがよくなる。特に活性が高まるのは満潮直前の2時間だ。あらかじめ上げ潮の時間を調べてから釣り場に出かけたい。
ハゼは近くに餌があれば、飛びついてくる。仕掛けを入れてから10秒以内にアタリがなければ、少しずつ餌を移動させて居場所を探す。その際、餌を引きずると根掛かりの原因になるので、一度底から離し、別の場所に投入する。
アタリは明確。ウキ釣りならウキが完全に沈むまで待ち、ミャク釣りではブルブルとアタリを感じたら、竿先を小さく鋭くあおって合わせる。釣ったハゼを持ち帰る場合は、なるべく早く氷の入ったクーラーボックスに入れよう。