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【U18】大阪桐蔭・前田悠伍、1失点完投で世界一胴上げ投手「最高の夏だった」

U18W杯で初優勝し、歓喜の輪を作る高校日本代表の選手たち(カメラ・加藤 弘士)
U18W杯で初優勝し、歓喜の輪を作る高校日本代表の選手たち(カメラ・加藤 弘士)

◆第31回WBSC U18W杯 決勝 台湾1―2日本(10日・台湾=台北天母野球場)

 【台北(台湾)10日=加藤弘士】日本が、決勝で1次リーグから8戦全勝だった台湾を2―1で下し、10度目の出場で悲願の初優勝を達成した。1点を追う4回、3者連続バントに敵失が絡んで逆転に成功。先発の前田悠伍(大阪桐蔭3年)は7回1失点完投で胴上げ投手となった。馬淵史郎監督(67)=明徳義塾=率いる若き侍が、大谷(エンゼルス)らを擁して3月のWBCを制したトップチームに続き、日本野球の底力を示した。

 最後のアウトを奪うと、仲間がマウンドをめがけて突進してきた。前田はその全てを受け止め、喜びに浸った。日本、初の世界一。原動力となったエースは台北の夜風に吹かれながら、真っすぐな思いを口にした。

 「最高のチームで最高の結果が出せた。本当にうれしいです」

 マイクを持ったMCが観衆をあおり、ヘソ出しのチアリーダーが華麗なダンスを披露する完全アウェー。それすらも楽しんだ。「昨夏の下関国際戦、今春の報徳学園戦と、甲子園のアウェーも経験してますので」。チェンジアップを沈め、緩急で幻惑した。7回4安打1失点、5奪三振。走者を許しても崩れない92球に「任されたからには、自分が世界一に導くと信じて投げました」と胸を張った。

 「世代最強左腕」も夏の大阪大会決勝では履正社に敗れた。「悔しかったんで」。甲子園中継は見なかった。そんな時間があるなら―と大阪桐蔭のグラウンドで鍛錬を続けた。「ここに向けてずっと練習してきた」。今大会は前田ら「夏の甲子園不出場組」が活躍した。人生は敗者復活戦。無念さをエネルギーに変え、世界の頂点に導いた。

 今大会は米国戦など要所の3試合で先発し、16回2/3を1失点で防御率0・54。大一番を託した馬淵監督は涙を流し、「前田に尽きる」と絶賛した。指揮官は試合前、ナインに訴えた。「今年より強力なチームは過去にあった。でも金はなかった。俺たちで金を取ろう。野球は100回やって100回勝てるとは限らない。実力は向こうが上。明日やったら、台湾に負けるかもしれん。でも今日だけは勝つ」。前田も燃える心を白球に乗せた。

 今秋ドラフトでは上位候補として各球団がリストアップする逸材。「ここで結果を残したい一心でした。世界一を取れて、最高の夏だった」。最後の最後に世代最強を証明した左腕。頂点に上り詰めた誇りを胸に、さらなるステージへと歩みを進めていく。

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