「天敵」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。個人的には「ネコとネズミ」だ。自然と小さい頃に見たアニメ「トムとジェリー」が思い浮かんでくる。だが、ここで触れたいのは「ショータとマット」である。正確に言えば、「巨人とショータ」「巨人とマット」だ。
巨人は8月30日の広島戦(京セラD)で0―1で迎えた5回に菅野が末包昇大(ショータ)に右越え本塁打を浴びて試合を決められた。末包はマツダでの8月19日の一戦から対巨人戦4戦連発。対巨人戦の4戦連発以上は19年8月に5戦連発を達成したバレンティン(ヤ)以来4年ぶりだった。日本人では18年の筒香嘉智(D)以来5年ぶり。その前の日本人は91年のシーズン初対戦から4戦連発の八木裕(神)までさかのぼる。
もう一人忘れてはいけないのが広島に今季から加入したマット・デビッドソンだ。今季放った19本の本塁打のうち9本が巨人戦でのもの。4月8~28日、8月19~29日と2度の対巨人戦3戦連発をマークしている。9本の本塁打だけでもインパクトは十分だが、同一シーズンに対巨人戦3戦連発以上を2度マークしたのは50年の2リーグ制以降で01年のペタジーニ(ヤ)、05年の金本知憲(神)、18年の筒香(D)に次いで4人目だ。
対巨人戦の連発は50年以降で5が最多。68年の江藤慎一(中)、69年の木俣達彦(中)、69年のチャンス(アトムズ)、73年の田淵幸一(神)、77年の田代富雄(大洋)、82年の掛布雅之(神)、19年のバレンティン(ヤ)の7人しかいない。中でも田淵は巨人がV9を達成した73年にシーズン初対戦から5戦連発だったが、4月26日から5月10日まで7打数連続本塁打と大きく立ちはだかった。さらにその年の対巨人16本塁打も最多。史上最大の天敵と呼んでいいだろう。
最初に触れた「トムとジェリー」は、記憶では弱い立場であるはずのネズミのジェリーがネコのトムを翻弄(ほんろう)しているシーンの印象が強い。今年は巨人が鯉に翻弄された感が否めない。残りの直接対決はわずか1試合だが、来季以降に苦手意識を作らないよう、「ショータとマット」封じを見せたいところだ。(恩田 諭)
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