雪組・和希そら「幸せとは何か。どう生き抜くのか」白衣、メガネ“大人の萌え”も「双曲線上のカルテ」東京公演11日開幕

スポーツ報知
自身の運命に導かれ、故郷を訪ねるフェルナンド(和希そら)

 宝塚歌劇雪組ミュージカル「双曲線上のカルテ」(監修・脚本=石田昌也、潤色・演出=樫畑亜依子)がこのほど、大阪の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演を終えた。続けて11~19日に東京・日本青年館ホールで上演する。入団14年目のスター・和希(かずき)そらが、孤高の天才外科医を演じ、見る者にそっと問いかける。「君たちはどう生きるか」―。(ペン&カメラ・筒井 政也)

 本作は「失楽園」「愛の流刑地」などのベストセラーで知られ、医師でもあった作家・渡辺淳一氏が1972年に発表した医療小説「無影燈」が原作。舞台設定をイタリアに変え、謎を秘めた天才外科医フェルナンド(和希)が真の医療に向き合う姿を描き、命の重み、生きる意味を訴える。タカラジェンヌもファンも、この4年間、コロナウイルスと闘い続けてきただけに、タイムリーな上演となった。

 2012年に同じ雪組(主演・早霧せいな)で初演され、11年ぶりの再演。大阪公演で和希は「様々な問題と向き合い、乗り越えながら生きている今の時代に、新たな演出でお届けできるのは、とても意味のあること。幸せとは何か。そのために何を選択し、どう生き抜くのか。人それぞれ価値観は違うと思いますが、この作品を通して少しでもメッセージをお伝えできれば」とスピーチした。

 セミが苦手という和希だが「セミも1週間という命の中で、自分にとっての幸せな生き方を模索しているのかもしれない…と気付かされた2023夏。すべてに対して思いやりと愛と優しさを持って接する世の中であればいいな」と笑顔。心も成長したようだ。

 和希は昨年の「心中・恋の大和路」に続く東上作2本目。21年に宙組から雪組に異動し、組の3番手に立った。責任の重みも増す中で、繊細な心の描写にもより磨きがかかってきた。一方で、大人の色気も増幅。「白衣、メガネ、『萌える』など、物語のプラスアルファのオプションとして楽しんでいただければ」と自らファンにビジュアルの狙いをアピール。男役の魅力の振り幅を感じさせた。

 ヒロイン役は4年目の華純沙那(かすみ・さな)。遊び人のフェルナンドの隠された優しさに惹かれる新任看護師・モニカ役に挑んだ。昨年の「夢介千両みやげ」の新人公演初ヒロインから大きくジャンプアップ。伸びやかな歌と初々しさが役柄にマッチしていた。

 フェルナンドに反発する生真面目な同僚医師・ランベルトは、9年目のスター・縣千(あがた・せん)が8月中は無念の休演となったが、復帰まで10年目の眞ノ宮(まのみや)るいが丁寧な芝居で代役を務め、公演序盤の苦境を乗り切った。出演者それぞれが「役を生き抜く」意味を実感したに違いない。

 ◆和希 そら(かずき・そら)10月5日、岡山市生まれ。2010年4月「THE SCARLET PIMPERNEL」で初舞台。第96期生。宙組で新人公演主演1度、宝塚バウホール主演2度を務め、21年12月、雪組に組み替え。身長168センチ。愛称「そら」「そーちゃん」。

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