【台北(台湾)7日=加藤弘士】日本が優勝5度を誇る強敵・韓国に7-1で完勝し、スーパーラウンド(SR)初戦を白星で飾った。7番の知花慎之助(沖縄尚学3年)が2回に先制の2点三塁打、6回にはダメ押しの2点適時打と3打数2安打4打点の活躍。投げては今秋ドラフト上位候補のエース左腕・前田悠伍(大阪桐蔭3年)が4回を1安打無失点の快投で、宿敵を撃破。悲願の初優勝へ前進した。8日の日本時間11時30分からは、プエルトリコと対戦する。
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欲しいのは勝利だけ-。先発した前田が投手としての“欲”を封印し、勝つための投球に徹した。チェンジアップ、スライダーを低めに集め、緩急で幻惑。韓国を相手に4回を1安打無失点の快投だ。米国戦では5回2/3を4安打無失点、8奪三振と力投したが、またも難敵相手にゼロを並べた。
「当てにくる打線だったので、三振をとりにいくのではなく、どんどん打たせてとろうと心がけました」
4回を12人斬り。奪ったアウト12のうち、フライアウトは実に7。積極的に振りに来る韓国打線の傾向をマウンド上で察知し、狙い通りに仕留めた。
ただ抑えればいいだけではない。いかに少ない球数でチームに白星をもたらせるか-。そんな難解なミッションもクリアした。球数55球以内なら中1日で第3戦の台湾戦に登板可能になる。4回を47球で首脳陣の期待に応え、地元開催で勢いに乗る強敵との勝負に備えた。
ネット裏で視察した日本ハム・大渕スカウト部長は「(台湾まで)来て良かったです」と夏の大阪大会から進化を遂げた姿を見せた左腕をたたえた上で、「複雑な条件の中で、しっかり自分の力を発揮している。彼らしさが出ていた」と賛辞を送った。
【スカウト称賛の声】
巨人・渡辺スカウト「一番いい時の投球に戻りつつある。高校生の中ではトップクラス」
ソフトバンク・稲嶺スカウト「真っすぐにカーブ、スライダー。チェンジアップと全てのボールでストライク率が高い。球数制限を考えた上で、負けられない試合でもチームを勝たせる投球ができていた。素晴らしいです」