【星一筆】そういうふうにできている

スポーツ報知
力投する赤星優志(カメラ・相川 和寛)

◆JERA セ・リーグ ヤクルト2―5巨人(7日・神宮)

 「ライン出し」 

 桑田ファーム総監督が、1軍コーチに就任した当初から投手陣に説いている制球力アップの方法だ。内角か外角、高めか低め、ストライクゾーンを大まかに分割して、その方向(ライン)へのイメージを描きながら足を踏み出し、体重移動をして、腕を振れということ。

 私が桑田さんに「ライン出し」について聞いたのは、本紙評論家をされていた5年前のキャンプ。制球難がつきまとっていた沢村(現ロッテ)に「ボールに力はあるんだから、ストライクゾーンは2分割とか4分割でいい」と、改善ポイントを指摘した。

 大まかではあっても、しっかりと指にかかって「ライン」に乗ったボールは、極端な“逆球”にはならないという。そして、「指にかかって意図したコースに投げたボールは、打者が打ち損じるか野手の正面に飛ぶ。野球はそういうふうにできているんです」とも。

 「そういうふうにできている」。なるほど…と思わせてくれる赤星の89球だった。岸田の構えたミットの反対側にはまず投げない。ストライクゾーンを外れたとしても構えた側。画面で確認しながら見ていたが、明らかな“逆球”は、6イニングを通して5球程度だった。長岡から2打席連続で奪った“インズバ”の見逃し三振。4回に村上の二塁打の後、内角を攻めてピンチを切り抜けたサンタナの三ゴロ(ハヤトさん軽快でした!)。ラスト6回に、サンタナを今度は外、外、外で仕留めた二ゴロ。狙ったところに投げれば「そういうふうにできている」。本人はもちろん、リードした岸田も気持ちよかったんじゃないかな。

 一方で、岸田が「低めだよ」のジェスチャー付きで要求したカーブが高めに浮いた村上の適時二塁打や、これもカットボールが抜けたオスナの一発は、どちらも「ライン」に乗らなかった失投。これもまた「そういうふうにできている」ということです。

 赤星に感心した後だけに、歩行者天国になりかけた7回は冷や汗をかいたけど、最後は帰ってきた千両役者のダメ押し弾で逃げ切り。またまたまたまた勝率5割。ベイもそう毎日は付き合ってくれないな。とりあえずゲーム差うんぬんじゃなく、貯金を作りましょう。

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