野球人口拡大へ、その裾野を広げる一助となるかもしれない。巨人が今年から都内の中学軟式野球部を対象に指導をサポートする「出張アカデミー」を行っている。元2軍監督でジャイアンツアカデミー副校長の高田誠氏(59)は「まずは野球人口が増えてくれることが一番だと思う。やっぱり野球をやってきた人間としては、野球っていいもんだよっていうことを伝えていけたらなと思っています」と語った。
部員の減少と指導者に負担がかかることから、球団が中体連にサポートするべく開始。8月に東京・江戸川区立西葛西中学校で授業を行った際は約2時間、打撃練習をメインにタイミングの取り方などを高田氏が指導。同氏が打撃投手を務る一幕もあった。練習終了後はノートを片手に高田氏へ質問する生徒の姿が多数。「すごく意識が高い」と同氏も感嘆の声も上げていた。
現在、都内でも野球人口は減少傾向にあるという。男子競技ではバレーボールが人気で、漫画「ハイキュー!」の影響も考えられる。その一方で西葛西中には中学入学後に野球を始めた生徒も2人いた。山中創矢君(1年)は「やっぱりWBCで野球への関心が高まって、野球部に入りました」と明かし、山口綾太君(1年)は「もともと野球観戦が好きで、よくハマスタとかに行ってました。(野球を始めたのは)友達に誘われたのもあるし、WBCもあったので」と言う。2人から「WBC」というワードも出てきたように、やはりきっかけとなる事象が重要だと改めて感じさせられた。
西葛西中野球部顧問の原駿兵先生は「例えば私が言うのと高田さんが同じことを言っても、間違いなく受け取り方が違う。実際打撃投手もやってもらって、いつもの感覚より絶対ヒットにしてやろうとか、そういうのも見て取れました。間違いなく子どもたちにとってプラスになるかなと思いますね」と効果も口にした。地道な取り組みが、野球界の未来を明るく照らすかもしれない。(田中 哲)