鳥取のホットスポット「鳥取うみなみロード」…日本海沿いを東西横断するサイクリングロードを走ってみました

スポーツ報知
鳥取うみなみロードを走るサイクリスト

 面積は小さいけれど、とてつもなく大きな魅力を持つ鳥取県。その東西を走るサイクリングロード「鳥取うみなみロード」が熱い注目を集めている。鳥取砂丘や皆生温泉など誰もが知っている観光地や、思わず息を飲むような絶景、うならずにはいられない絶品グルメをつなぐ全長152Km。まさに体じゅうが鳥取に魅了されてしまう道のりだった。

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 2020年3月に整備が完了した「鳥取うみなみロード」。山陰自動車道開通で車の通行量が減少した国道9号線沿線の活性化を目指し、県内を東西に横断するサイクリングルートとして16年度からコース選定が進められてきた。東はJR東浜駅、西はJR境港駅を起点に、日本海の美しい海、雄大な自然を見ながら、爽快な風を感じながら、県を東西に横断する。直線的なルートで土地勘のない県外や海外のサイクリストにもわかりやすい。短時間で移動できるのも大きな特徴だ。

 鳥取県でも安心、快適なサイクリングを楽しんでもらおうと、地元飲食店、宿泊施設などの協力を得て、サイクリストを支援する「ダイジョウブシステム」を構築した。拠点施設となる「コグステーション」ではレンタサイクルで手軽なサイクリングもできる。そのほか、宿泊施設の「鳥取県サイクリストに優しい宿」、飲食店の「サイクルカフェ」、コンビニなどの「サイクルポート」、サイクルキャリアを搭載したUDタクシーの5種類の環境を整備している。

 コグステーション、サイクルカフェ、サイクルポートには、バイクラック(自転車スタンド)が設置され、空気入れ、パンク修理工具などの貸し出しなども行う。もちろん、トイレの利用もOK。鳥取県サイクリストに優しい宿には、客室に自転車が持ち込めるなど、サイクリストにはうれしいサービスを提供している。

 東でも西でも、どちらからスタートしても、もちろん堪能できる。県の中央部からスタートして東西1往復の距離を走ったり、途中でショートカットしたり、楽しみ方はそれぞれ。今年中にはコースの道路に案内路面表示が設置される。元気いっぱい、魅力いっぱいの鳥取県を自転車で満喫すれば、最高の元気がもらえるはずだ。

①港カフェ ※サイクルカフェ 岩美郡岩美町大谷2182(電話0857・73・1212)

 「浦富海岸島めぐり遊覧船乗り場」で、大きないかりのマークが目印だ。店内は木の温もりを感じられる造り。絶対に食べたいのは「ホタルイカバーガー」(750円)だ。イカスミを使ったバンズのインパクトは強烈だ。名物・ホタルイカ14杯を使ったフライと、鳥取砂丘らっきょうを使ったタルタルソースの食感がとても心地よい。

 エビの魅力をあますところなく盛り込み、岩美の地酒「瑞泉」が隠し味の「海老ビスク」(600円)の濃厚な味わいも外せない。透明度の高いこのあたりの海をモチーフにした「IWAMI BLUEサイダー」(400円)や2種類の遊覧船クラフトビール(690円)は、店長がデザインしたキュートなラベルに癒される。

②浦富海岸 島めぐり遊覧船 岩美郡岩美町大谷2182の12(電話0857・73・1212)

 サイクリングといっしょに「ガチの観光も楽しみたい」という人におすすめなのがこの遊覧船だ。日本海の荒波と風雪が長い年月をかけて作り上げた荒々しい景観。沖縄の海にも匹敵するという、抜群の透明度。風光明眉な景勝地は「山陰の松島」と呼ばれている。しばしの間船の揺れに身を任せて、冒険クルーズを楽しもう。

 遊覧船内にはバイクラックも設置されているので自転車と一緒に乗船できる(一隻貸し切り、3日前までに要予約)。今後、北東へ約2Kmの田後港までのコース遊覧船も就航予定。それを使えば、西からうみなみロードを走って来た場合、険しい上り坂を少しだけショートカットできる。

③鳥取砂丘

 鳥取砂丘のすぐ東を南北に走る「砂丘道路」も、うみなみロードの一部となっている。「鳥取の代名詞」ともいえる定番観光地だって存分に味わえる。徒歩ですぐの場所にサイクルカフェがあるから、休憩がてら砂が作り上げた雄大な景色を楽しもう。

 「とっとり砂丘売店 サンコスモス」(鳥取市福部町湯山2164の657、電話0857・77・4046)では、長靴無料貸し出しを行っている。「せっかくだから砂丘を歩きたいけど、サイクリングシューズでは…」という人にピッタリだ。アイスクリームの割引もあるから要チェックだ。

 「SANDBOX TOTTORI」(同浜坂1390の224、電話0857・51・1069)では、コワーキングスペースだけでなく、開放的な空間で地元食材も味わえる。カフェ利用者は電源、Wi―Fiが無料で使用できる。

④白兎(はくと)神社 鳥取市白兎603(電話0857・59・0047)

 古事記の神話「因幡の白うさぎ」に登場する白兎神(はくとかみ)が祀られる場所は、歴史の重みを感じさせる静かな場所だ。創建以来、医療の神様として親しまれてきた。最近では「日本初のラブストーリーの発祥地」として2010年に、「恋人の聖地」に認定された。

 うみなみロード沿いにある「道の駅 神話の里・白うさぎ」がサイクルカフェとなっているので、せっかくなら足を延ばしてみよう。石段を登って鳥居をくぐると、そこには静かでおごそかな時間がゆっくりと流れている。

⑤倉吉シティホテル ※鳥取県サイクリストに優しい宿

 うみなみロードのちょうど中間地点に位置する。鳥取県が認定するサイクリストが安心、快適に旅の疲れを癒やすことができる環境を備える宿泊施設として、21年4月の制度スタート直後に認定された。清潔感あふれる館内で過ごすひと時は力走した自分への格別のごほうびだ。

 室内に愛車を持ち込めるのは、サイクリストにとって何よりの安心だ。また、洗車のための水道が準備され、サイクリングウェアの洗濯にコインランドリーもあるから助かる。館内では高温サウナを備えた温泉大浴場でのんびりと過ごそう。「プラス観光、という形で2泊される方も多いです」とは総支配人の長岡高史さん。

 また、サイクルカフェとしても登録されているので、休憩や修理のために立ち寄ることもできる。

⑥あかさき亭 ※サイクルカフェ 東伯郡琴浦町別所255(電話0858・49・2020)

 「道の駅 ポート赤碕」にある赤碕町漁協直売センターのレストラン。県内で水揚げされた魚介類をメインに、海の幸が思う存分味わえる。「とびきりの海鮮を食べたい」というサイクリストに、うってつけの場所だ。なかでも絶品なのがイカ、エビに加え、その日のもっとも旬な4種類の鮮魚を使った「海鮮丼」(1600円)。目の前に現れると、食べるのがもったいないくらいの美しいビジュアルに圧倒される。漬け丼(1000円)、日替わり煮魚定食(1000円)など、メニュー選びの段階で、だれもが迷いに迷ってしまうだろう。

 漁協で直売されている岩ガキ(1個500円)も、ここで食べることができる。サイズ、うまみともに規格外。エネルギー補給に格好のスポットだ。

⑦齧珈琲(Kazy Coffee) ※サイクルカフェ 西伯郡大山町御来屋867の8

 うみなみロードの国道9号でJR名和駅付近は真っ直ぐに伸びている。ついついスピードを出したくなる場所だが、北側にある古い民家にかけられたブルーの大きな日除けのれんには思わず引き寄せられる。舞妓さんがコーヒーを飲む姿のデザインに何とも心をつかまれる。大阪で働いていたオーナーの後藤翔さんが「地元で起業できないか」と空き家を買い取って改装し、カフェとして今年3月にオープンした。好きなソースを選んで生クリームをカスタムできるコーヒー屋さんだ。

 「抹茶やミルクは地元産。自分としては『おしゃれなカフェと言えば京都』というイメージ。いろんな場所のいろんないいところを少しずつ、かじ(齧)っているんです」と後藤さん。落ち着きのある店内に飲食スペースはあるが、自動車や、それこそ自転車で立ち寄ってのテイクアウトが主流。インスタ映えする鮮やかな色合いは、“ホッとする”には最適だ。

⑧米子市観光センター ※コグステーション 米子市皆生温泉3の1の1(電話0859・35・0175)

 「コグステーション皆生(かいけ)」として様々な形でサポートしている。トイレ、休憩スペースの提供や修理用具の貸し出しなどを行うほか、レンタサイクルの貸し出しも行っている。この場所を拠点に“手軽なサイクリング”も楽しめる。「本格的なクロスバイクのほか、一般の自転車や子供用、電動アシストのついたものもあります」とは担当で皆生温泉旅館組合事務局長の河津幸雄さん。ここでは約40台の自転車を準備している。

 うみなみロードの西の発着点であるJR境港駅までの約16キロは、白い砂浜と青々とした松林の中を走る「白砂青松の弓ヶ浜サイクリングコース」。広々とした道幅の自転車道を走るのは爽快だ。西からこのコースを通ると、海の向こうに見えるのは中国地方最高峰の大山。バイクラックに自転車をかけて、しばし、鳥取の空と山と海がつくり出す見事なコラボレーションを堪能するのも絶対にいい。

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