シーズン中に他球団の選手と食事 白とも黒ともつかないチームの垣根越えた交流…記者が思う

スポーツ報知

 白とも黒ともつかない、複雑な事象を目の前で見た気がした。8月17日、猛暑のナゴヤ球場に足を運んだ。目的は中日・大野雄大投手(34)への取材。その数日前、巨人・菅野智之投手(33)と名古屋にて食事会を開いたと知り、詳細を聞くために取材を申し込んだ。

 取材中、大野が少し考えて言った言葉があった。「投手同士なんでね。野手と投手だとまた話は別になってくるんですけど…」。多くは語らなかったが、口調から察するには「シーズン中に他球団の選手と食事なんて…」という声がSNSなどを通じて届いていたのだと思う。大野のスタンスは「投手同士なら問題ないと思う」。個人的には、グラウンド上で直接対峙(たいじ)する投手と野手の会食には違和感を抱くかもしれないが、投手同士は問題ないと感じた。

 だが、否定的な意見にも理由があるはずだ。そこで思い出したのが昨年ソフトバンクを退団し、巨人入りした松田の入団会見の席で原監督が語った言葉。過去の球宴などで松田から一切あいさつがなかったと明かした上で、「我々の時代は当たり前。その姿を見て非常にうらやましい選手だなと」と語った。昨今、頻繁に見られる他球団の選手同士が和気あいあいと談笑する姿は、以前の野球界ではある種の“タブー”だったということだ。確かに、そう考えると投手同士とはいえ「なぜ?」と思う心理も理解できる。

 SNSが発達した現代であれば、選手同士のやりとりは容易。なおかつ、侍ジャパンなどでチームの垣根を越えた交流の機会も多くなった。記者個人としては、食事の場で意見を交換し、未知の感覚、思考に触れることは野球界全体の発展につながる貴重な時間になると考える。多様性が尊重される時代だからこそ、選手同士の在り方についても“変化”が受け入れられていくことを願う。(巨人担当・小島 和之)

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